更新日:2016年07月28日 14:46
デジタル

上場フィーバーのLINE 前社長より稼ぐ韓国人作家の正体に迫る

 この頃の作品には、日本のマンガに影響を受けたものも多い。例えば、少年漫画「北斗の拳」の主人公・ケンシロウのパロディなど。自身のブログでは、小さな頃に「おそ松くん」(赤塚不二夫作)などの日本漫画を何度も読み返していたとつづっている。その他にも「毎日かあさん」(西原恵理子作)、「MASTERキートン」(浦沢直樹作)なども好みの作品だったようで、日本のコミック文化から、多くのものを吸収してきたのかもしれない。  そして、LINEのオリジナルスタンプを生み出すのに、非常によい訓練になったとmogiが振り返っているのが、大量の似顔絵を描く仕事だった。当時のネイバージャパンが、コミュニティサイト「NAVER cafe」のユーザーに対して、顔写真を送ると似顔絵をプレゼントするというキャンペーンの一環で培ったのだという。  mogiの描くキャラクターは、決して可愛らしさを売りにはしていない。むしろ人間の表情をユニークに強調することだ。そうした作風が、LINEユーザーの喜怒哀楽を表現するスタンプとして、もっとも良く「ハマる」と判断されることになったのだ。  そんなオリジナルスタンプは、LINEが世界各国で「現地化」し、ユーザーを拡大させるにしたがって、大事な役割を果たしてきた。例えば、イスラム教徒の多いマレーシアやインドネシアでは、断食期間である「ラマダン」をテーマに制作した地域限定スタンプを投入している。  日本での仕事に一区切りつけたmogiは現在、LINEの100%子会社である「LINEプラス」で、世界市場に向かって新しいスタンプの作成を続けているという。この愛らしくも不思議なキャラクターたちは、彼が発明した子どものような存在であり、いまも同社の揺るぎないアイデンティティと強力なマーケティングツールとして活躍している。  NewsPicksは、mogi氏のように、なかなか日本では存在が知られて来なかったLINEを支える韓国流の経営スタイルを、ノンフィクション「韓流経営LINE」(扶桑社新書)にまとめ、7月2日に発売する。日本を見渡しても、なかなか世界展開で成功するIT企業が登場して来ない中で、早くから世界を目指し、日本市場の攻略のために徹底した戦略を取ってきたLINEと親会社であるネイバー、そして日本での成功に欠かせなかったライブドアにフォーカスを当てた、これまでにない書籍となっている。  今後、上場を経て、韓流経営を続けるLINEはどのようにして成長していくのか。その答えはまだ未知数だが、ただ一つ言えるのは、今日も世界中のユーザーが、LINEのスタンプを連打し続けているはずだ。 <取材・文・撮影/NewsPicks取材班>
1
2
3
4
韓流経営LINE

“純和製アプリ”の真実

おすすめ記事