更新日:2016年08月10日 20:51
スポーツ

リオ五輪にむけ地下鉄がようやく開通!でもメイン会場からは遠すぎる… 【開幕まであと1日】

―[リオ五輪]―
オリンピック・パークへの遙かなる道

最寄りの駅からオリンピックパークの入り口までは20分以上歩く

 五輪の45種目のうち、半分以上の24種目が行われる「バーハ地区」。選手村やメディアセンターも設置される「オリンピック・パーク」で、リオ五輪の心臓部といえる場所だが、実はリオ五輪直前まで「僻地」の様相を呈していた。  バーハ地区へはこれまで電車が通っていなかったため、リオ市の中心部から車で1時間以上かけて向かうしかなかった。いわゆる新興開拓地のため、交通アクセスがすこぶる悪く、バスを使おうとしてもバーハ地区へと通づる幹線道路は少なく、そのため渋滞が頻繁におきており、ひどい時ともなると倍以上の所要時間をとられることもあった。  そんなおり、五輪へむけて待望のバーハへと通じる地下鉄4号線が、直前の8月1日に開通した。地元紙によると「30年に渡る悲願」だそうだが、バーハの五輪施設に地下鉄が直接乗入れるわけではなく、五輪施設に直結するBRTという専用軌道を走るバスの駅に繋がっただけで、リオ市は「五輪後は一旦閉鎖して延伸工事をする」と明言している路線なのだ。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1171141

8月1日に開通した新地下鉄「4号線」

 五輪期間中は、大会関係者と報道、観戦チケットを持つ観客のみが使用を許されるという、特殊な路線。今回、記者は一応報道陣の一員ということで乗車を許された。

真新しい路線に乗車、オリンピック・パークへ

4号線の乗り換えでは一般の乗客を排除する検問が

 マラカナン地区近くの駅から、地下鉄1号線に乗る。コパカバーナ地区を通り、約30分ののちリオ市の西、イパネマ地区にある1号線終点のGeneral Osorio駅で4号線に乗り換える。改札で関係者パスを見せると、真新しいホームへ通ずる道への通行を許可された。

全然人がいない車両。冷房が強く、寒々しい

 誰も乗っていない真新しい車両は冷房でガン冷え状態で、震えがくるほど。記者を乗せるとすぐにドアが閉まり、BRTへの乗り換え駅 Jardin Oceanico に向けて発車した。途中の駅で停車しドアは開くも、乗降客はいないため、不思議な気分になる。約15分後終点に到着。BRTへの乗り換えホームに向かおうとするも、地下鉄、BRT共通の切符を持っておらず、一度改札を出て入り直すハメに。ここまでで約45分。

地下鉄からBRTへ。オシャレな乗り換え口だったが、共通乗車券を持っておらず足止めされる乗客が多数

 一度外に出て、連絡通路を渡り、BRTの駅へ。乗り換えに10分もかかってしまった。BRTの駅も当然ながら人は皆無。テレビ局のクルーが走る車両を収めようとしていただけだった。

2両編成のBRT。本番の輸送能力には疑問が

 2両編成のBRTに乗る。渋滞する道路のどまん中を専用軌道に乗って進むのは、実に気持ちがいいが、時折専用軌道に人が立ち入っており、運転手が盛大にクラクションを鳴らす。ガラス張りの駅舎を鏡がわりにしてヒゲを剃っているオジさんなんかもいて、ある意味目が離せない。

市内からは1時間余り、最寄り駅からさらに20分歩く

 15分ほどでバーハ地区のオリンピック・パークの最寄駅 Centro Olimpico に到着。しかしそこから広大な施設への入り口まで徒歩で20分ほどかかり、「最寄り駅」と言えるかと問われれば微妙な感じだ。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1171146

競技施設のすぐ外は荒れ地のまま

 競技施設をひと通り見るが、すぐそばには荒れ果てた赤土が覗いていたりと「突貫工事感」は免れない。もうひとつの最寄り Rio2 駅から、帰路についたが、果たして競技を見終えた大量の観客を2両編成のBRTのピストン輸送でさばけるかは大いなる疑問。水泳の決勝などは、現地時間で深夜12時頃の終了が予想されており、そこから市の中心部に帰ろうとするなら1時間半は優にかかってしまう。  実際、帰りのBLTは行きのルートの真逆を行く便が来ず、乗りあわせていた大会ボランティアの人に乗り換えを助けてもらったほど。そのまま乗っていればとんでもない方向に行っていたところだった。公共交通機関を3本も乗り換えてお目当ての競技を見に行く辛さを思い知った。  今日、聖火はリオ市内に入り、女子サッカーは地元ブラジルの快勝で始まった。否応なしにオリンピックムードが盛り上がるなか、ちょっと憂鬱になる経験であった。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1171147  取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)
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