森林：社会的に男女平等の考えが一般化し、個人の自由が尊重されればされるほど、すれ違いは広がっていくんじゃないかと思います。女性が当然の権利や欲求を求めると、それに男どもがビビっちゃう。SEXをするために男女がわかり合おうとしたり歩み寄ろうとすることってやっぱり大変だし、必ずしもハッピーな結果が約束されてるわけではありません。逆に、自分ひとりなら、そんな煩わしさやリスクと無関係でいられますからね。 　つい先日(平成28年9月15日)、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「結婚と出産に関する全国調査」によると、18～34歳の独身の男女の約40%が「性経験がない」と答えたそうです。この数字も“SEXすることの困難さ”を示していると思います。相手を見つけ、相手と交わり、相手と別れ、自分と向き合う。SEXに関するハードルの高さと多さを考えたら、若者が尻込みしちゃう気持ちもわかります。昔は、それをも凌駕する“本能としての性欲”がありましたが、今は、世の中が平和だからか本能が育たず弱まっているようにも感じるんです。 　さらには、科学の進歩によってVRで限りなく現実のSEXに近い感覚を味わえるようになりそうだし、極論かもしれませんがAI（人工知能）が発展したら生殖すらもコントロールできるようになり、SEXの存在意義がなくなってしまうのではないかと悲観的観測をしてしまいます。そんな時代だからこそSEXをする機会があったら、相手と一緒にSEXを楽しんだり、気持ちよさを共有したりして、相手と深くつながる感覚を知って欲しいんです。SEXは楽しむものですが、男性主導、またはどちらか一人だけで楽しんでいては、SEXの持つ深い悦びを感じることはできません。相手ありきでSEXにのめり込めんでこそ、幸せを感じられるんです。あと、SEXを諦めたり面倒なことだと思っている人たちには、おせっかいを承知で、SEXの魅力を伝え、興味関心を持ってほしいのです。 ――SEXは一人でするものではなく、二人でするもの。だからこそ、女性にもっと性の悦びを、そして“幸せなSEX”を知ってほしいという気持ちが森林氏の中にあるようだ。