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『君の名は。』も受賞。シッチェス映画祭受賞作『ハードコア・ヘンリー』は“正視できない”衝撃作

 毎年10月スペイン、バルセロナ近郊のシッチェスで開かれる国際ファンタスティック映画祭。“ファンタスティック”とはホラー、スリラー、SF、サスペンス、アニメのことでマニアは超有名なのだが、今回『君の名は。』が長編アニメ部門で作品賞を獲ったことで、逆に、この映画祭のことを知った人が多いかもしれない。ファンタスティックでさえあれば、『君の名は。』のような恋愛ものから血が吹き出し首が飛ぶスプラッターホラーまでを紹介する懐の広いイベントだから掘り出し物も見つかる。今年もいくつか野心的な作品があったが、ロシア映画『ハードコア・ヘンリー』もその一つだ。

 この作品はPOV(ポイント・オブ・ビュー)で撮られている。POVとはカメラを登場人物の視点に見立てた撮影手法で、例えば『羊たちの沈黙』のクライマックスで主人公クラリスを追い込む殺人鬼視点の映像、『ゼロ・グラビティ』の冒頭で宇宙に投げ出された主人公ライアンがゴーグル越しに目にする回転映像がそれに当たる。感情移入しやすく疑似体験を味わいやすいという特徴があるため、ホラー映画と、そして、ご存じの人も多いだろうがアダルトビデオで多用されている。自分がやっている、自分がされている気に手軽になれるからだ。

 というわけで、POVを一部に使っている映画は珍しくないし、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『REC』、『クローバーフィールド/HAKAISHA』など全編をPOVで撮られた作品もある。だが、『ハードコア・ヘンリー』がそれらと違うのは、主人公目線で全編を撮り切っていることだ。

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主人公がサイボーグ化したところから始まる

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