大槻ケンヂ「パワフルな中年でいるためには筋肉少女帯を歌え!」
――そこまで全力でやっていると、「休みたい」って気持ちにはならないものですか?
大槻:休んじゃいけないですよ、むしろ。休んでしまうと、中高年特有の鬱になっちゃいます。鬱はもちろん脳の病気であるけども、あれは集中力の問題もあると思うんですよね。中高年になると、何もしていないと集中力が自分の負の部分だけに向いてしまいますから。カラダも鍛えて、負に向かう集中力を拡散しないと。
ただ、体力に関しては、幼い頃から運動機能が低いと思いきや、大人になってから心肺機能がとてもすぐれているって医者に言われたんですよ。きっとそれは、何十年もロックをやっていたから、鍛えられた部分もあるのかもしれない。筋肉少女帯みたいなハードロックは本当に体力を使いますから。僕の目標は、60歳を過ぎてマラソンを始めるような、すごい老人になることですね。だからカラダは鍛え続けます。
――たしかにロックには定年もありませんし、海外のロックミュージシャンもみんなパワフルですもんね。
大槻:ポール・マッカートニーなんてポップスだけど、ハイトーンだから、相当体力使っていますよ。しかも、74歳になった今でも世界中を回るでしょ? ほとんど休憩もせず、『Hey Jude』でオーディエンスと延々「ナナナ」って歌っていますからね。もう、なんの修行かって。ミック・ジャガーだって、72歳で子供ができたし、鉄のような老人って本当にいるんだなぁと。
僕は、ポールとミックについては陰謀論を持っていてね。ビートルズとローリング・ストーンズは、英米の国家プロジェクトじゃないかとね。双方のバンドは国家的な文化遺産だから。国民にとって精神的支柱だから、コケてもらったら困るわけですよ。国家プロジェクトとして、ポールとミックは半分サイボーグ化されているかと思うんですよ。下手したらすでにロボットかもしれない。まぁ、僕の勝手な想像ですけども。
――(笑)。あまりに元気だと、同世代のオーディエンスがついていくのが大変ですよね。
大槻:僕もオーディエンスには、へばってほしくないと思いますよ。「オーケンはがんばっているけど、あたしのほうが体力的に無理だ」って言われたら、「え~、がんばってよ~」ってなりますから。だから、バンドもリスナーもオーディエンスもみんなが健康に気遣ってほしいと思いますよ。心はロックミュージシャンが支えるから、肉体は自己責任でお願いします!
――へばる前に鍛えるしかないですね、我々は。
大槻:カラオケがいいですよ。ぜひ筋肉少女帯を歌ってみてください。原曲キーで! リバーブは切って! 地声で! その地声が聞こえなくなるくらいオケを上げて! 立ちながら! 15曲でいいから! 本気で歌ってみてください! どれだけ大槻ケンヂの仕事が大変か、わかってもらえると思う。でも、やり続けます。
<取材・文/小野麻衣子 撮影/渡辺秀之>
【筋肉少女帯リリース情報】
10月26日に筋肉少女帯がカラオケDAMとコラボを組んだニューシングル『人から箱男(筋少×カラオケDAMコラボ曲)』、同日に『再結成10周年パーフェクトベスト+2』を発売。10月27日からはツアーがスタート。また、全国のハコをめぐるエッセイ『ライブハウスの散歩者』(交通新聞社)が発売中。筋肉少女帯オフィシャルサイト(http://eplus.jp/sys/web/king-show/index.html)
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