創作者は面倒な生き方をしているのか?【和嶋慎治×原田まりる対談】
―[和嶋慎治]―
3人組ハードロックバンド「人間椅子」は活動27年目。昨今のブレイクの裏には、これまでの「売れない」「アルバイト生活」という苦しい時代があった。それでも音楽を続けてきた彼らにはさまざまな葛藤や苦悩があったはず。ギターヴォーカルを務める和嶋慎治氏は御年50歳。今回、哲学ナビゲーターでもある日刊SPA!で連載中のコラムニスト・原田まりるが「哲学」「創作」というキーワードをもとに、和嶋氏を前編「哲学に出会うことで他人と死への恐怖が薄れた」に続き直撃した。

死んでから作品が評価されるかもしれない
創作者が世間に流されないために大事にしているもの
原田:私も物事を深刻に考えてしまうタイプなので、そうじゃない生き方をしている人に対してうらやましさがあるのかもしれません。ルサンチマン的な発想かもしれませんが。そんな風に流されるように生きていけば、無駄な苦労を味わわなくて済んだのかなぁ考えることもあります。和嶋さんも、自分は面倒な生き方をしているなって思うことはありませんか?
和嶋:思いますよ。ただ、もしかしたらそんな自分を悲観することもないかもしれないんです。だって、表現する人ってその意識がないとダメかなって思うから。表現するってことは周りと違うってことなんだし、周りに対して、何らかの美しさを見せるってこと。自分を持って生きることが人間だっていう考えがないと、表現なんかできないですよ。たしか、『ゴッホの手紙』に書いていた気がするんだけど、キリストは最高の芸術家だって。たしかに、生きるってことを行動で表した人だからね、キリストは。
原田:和嶋さんは、表現以外に楽しみってあるんですか? プライベートとか。
和嶋:山にキャンプに行くことですね。休みの日があったら車を使って一人で山に行くんです。山を独り占めしているというか、自然と一体感を感じるわけ。自然と自分が一つっていう感じがいいですね。自分も地球のなかの一員。宇宙の物質でできていると実感するわけ。あの嬉しさは、麻薬のような感じです。
原田:都会に戻ってきて、その気持ちを持ったまま、戦い続けるんですね。
和嶋:ニーチェの著作『ツァラトゥストラ』はかっこいいんですよ。あれは山にこもり、下りてくる話だからね。だから僕は山に行くんです。焚き火も楽しいしね。だいたい修行って山のなかで一人でするものだからね。原田さんもそんな楽しみはあるんですか?
原田:私もスキーが好きで、よく雪山に行きます。ちょっと俗世から離れられるという感覚があります。雪山にこもりたいですね。
和嶋:自然って神聖なものを持っていますよね。現代人はちょっとその感覚を忘れちゃっていますからね。雪山にこもりたい気持ちわかりますよ。創作に充てたいですよね。
原田:詞を書くとき、自分は天才だなって思うことはありますか?
和嶋:あります。書く人はみんなそうだと思う。「これ書いたの誰だ? 俺だよ」ってことがよくある(笑)。クリエイティブなものって神様なんだと思う。
原田:何かを作っているときって、神が宿る瞬間がありますよね。出口が見えるというか、筋道を発見できる瞬間というか。
和嶋:僕、タバコだけは止めらないんです。禁煙していたときに書いた詞が、なんだか毒がなかった。これはなんてつまらない曲なんだと全部書き直そうと思ったとき、「なんか、もう吸ってやるか」ってタバコをくわえて書いたら、急に別人のような詞が出来上がったわけ(笑)。あれにはびっくりしましたね!
原田:それが和嶋さんの神を憑依させるときのコツの一つなんですね!
【和嶋慎治】
1965年、12月25日生まれ。青森県弘前市出身。高校時代の同級生である鈴木研一(ベース)と人間椅子を結成。ギターとヴォーカル、作詞作曲を担当する。近年は、ももいろクローバーZの楽曲のギターとして参加したり、声優・上坂すみれへの楽曲提供もする。和嶋慎治監修のムック本「和嶋慎治 自作エフェクターの書『歪』」も発売中。人間椅子の最新アルバム「怪談 そして死とエロス」は2月3日発売。2月19日からは全国ツアーを開始
【原田まりる】
1985年、2月12日生まれ。京都市出身。コラムニスト。哲学ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。レースクイーン、男装ユニット「風男塾」のメンバーを経て執筆業に至る。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。Twitterは@HaraDA_MariRU
原田まりる オフィシャルサイト https://haradamariru.amebaownd.com/
<取材・文/小野麻衣子 撮影/渡辺秀之>
―[和嶋慎治]―
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『怪談-そして死とエロス-』 これまで以上の盛り上がりを見せ、その人気ぶりが再熱している人間椅子が満を持して放つ、通算19作品目のオリジナル・アルバム。
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『和嶋慎治 自作エフェクターの書「歪」』 5モデルに関しては、特別付録として本書のために製作されたプリント基板が付属。電子工作の上級者、初めてエフェクターを作る初心者まで、自作エフェクター好きにとっては絶対に見逃せない一冊になっています。
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