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TPPで問題となるのは農業だけじゃない。著作権「死後70年」を受け入れて本当に良いのか?

著作権が切れてこその新しい出会いもある

 日本は、アニメなどのソフトが頑張っていますが、残念ながら年間6000億円ほどの赤字です。まだまだ、日本は著作権で利益を出せる状態ではないのです。「死後50年派」は、カナダ、ニュージーランド、中国、ASEANの国々です。  「死後70年派」は、アメリカやヨーロッパです。  例えば、作家が80歳で死んだとして、その時、子供が50歳、孫が20歳だとすると、計算上は子供が100歳、孫が70歳まで著作権が続きます。子供は間違いなく死んでいるでしょうが、孫が生き残っている可能性は高いです。  これが、死後70年になると、子供が120歳、孫が90歳となり、ほぼ、死んでいると考えられます。そうすると、曽孫が60歳、玄孫30歳が著作権継承者になります。  ところが、実際にビジネスになるのはアメリカでも1%ぐらいですから(ミッキーマウスは例外中の例外なのです)、自分の曽祖父さんや曽曽祖父さんが作家だということを気に留めている人はかなり少なくなるのです。  これは、逆に言うと、「昭和初期の作品のアンソロジーを作りたいんだけど、曽孫も玄孫もどこにいるのかまったく分からない。でも、著作権が切れてないから、勝手に載せられない。結果、掲載を諦めるしかない」という「孤児作品」と呼ばれるものが大量に生まれることになるのです。死後50年でも「孤児作品」は膨大にあります。死後70年になると、さらに増えるだろうと簡単に予想できます。  シェイクスピアもシャーロック・ホームズも、著作権が切れたからこそ、大胆に改変されながら、新しい作品になっています。有名な作家はもちろんですが、著作権が切れることは、じつは、多くの作品にとって、もう一度、読者や観客と出会うことになる可能性が高いのです。  アメリカがそうだからと、自動的に死後70年にしていいんだろうか。もっと話しあうべきなんじゃないのか、と僕は思っているのです。そもそも、ヒラリーさんもトランプさんも、TPPに反対してるんですよね。  あらら、ですわ。
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