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感染対策も万全『アカシアの雨が降る時』5月から公演/鴻上尚史

鴻上尚史

感染対策も万全『アカシアの雨が降る時』5月から公演

 5月に『アカシアの雨が降る時』という芝居をやります。  今日、二回目のPCR検査の結果、キャスト・スタッフ全員が陰性だったという報告をプロデューサーから受けて、ホッとした空気が稽古場に流れました。  去年11月、『ハルシオン・デイズ2020』の時には、稽古と上演の間、計6回、2週間おきにPCR検査を受けて、毎回、「なんとか生き延びた」と思いながら、上演を終わらせました。  それから半年たって、また同じことをするとは、夢にも思いませんでした。  去年、僕は自分の40年に渡る演出家人生の中で、こんなに空席を見たことがない、という経験をしました。  客席を見るたびに、身を切られるような感覚になりました。  なにより、多くの空席の前で演技をしなければいけない俳優達に、本当に申し訳ないと思いました。  空席が目立つ客席でも、演技のモチベーションを落とさない努力を続けている俳優に、頭が下がりました。  そして、コロナ禍に、わざわざ劇場まで来てくれた観客の人達にも深く感謝しました。

「演劇人は演劇を作ってお客さんに提供するのが仕事ですから」

 あの時、こんな経験は、もう終わりにしたいと思いました。  けれど、今年もまた、同じことをしなければいけなくなっています。  稽古場の床も机も椅子も小道具も、毎日、消毒し、PCR検査をしてない人はどんな人も稽古場には入れないようにし、一時間に一回、換気し、密にならないように出演者やスタッフを少数精鋭にして、なんとか千秋楽まで、公演を実現しようとしています。 「赤字になる可能性が高いのに、どうしてするんですか?」と聞かれてしまいました。  去年から、何度か同じ答えを繰り返しています。 「八百屋さんが野菜を売るのが、パン屋さんがパンを売るのが仕事のように、演劇人は演劇を作ってお客さんに提供するのが仕事ですから」  そうとしか、答えようがありません。
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