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毎週一本のエッセーを書き続けて27年、とても楽しい作業でした/鴻上尚史

最終回、27年間の感謝を込めて

ドン・キホーテのピアス 粛々と、『アカシアの雨が降る時』を六本木トリコロールシアターで公演しています。  自分で言うのもなんですが、ものすごく素敵な作品になったと思います。  笑いがあって、歌があって、涙があって、『二十歳の原点』とか『戦車阻止闘争』とか『遠い世界に』とか『認知症』とか『ベトナム反戦』とかがぶち込まれた物語です。  6月13日までなんですが、ぶっちゃけて、お客さんがなかなか来てくれません。もちろん、たくさん来ていただいても、50%の観客規制なのですが、お客さんがなかなか、来てくれません。

「もし、クラスターが出たら、私達は終わる」

 まあ、しょうがないかとも思います。  非常事態宣言ですからね。こんな中で芝居を見ようと思ってくれるのは、かなりの芝居好きだと思います。  入場する時に、検温して消毒して、チケットのもぎる方の裏に名前と電話番号を書いて、入場しても友達と話さず、黙って開演を待って、上演中はずっとマスクをつけたまま見て、歓声はあげず、終われば規制退場で、自分の番を待って黙って退場する。  これは大変なことです。  この時期に劇場に来てくれているお客さんだと、「こんなのいつもやってるから」と慣れていて大丈夫でしょうが、もし、オリンピックで観客を入れることになったら、いえ、観客がいなくても大勢のマスコミが入ったら、大変だろうなと思います。  演劇業界は、誰しも「もし、クラスターが出たら、私達は終わる」と思っていますから、必死です。自分達は検温・消毒・定期的なPCR検査等を行いますが、同じようにお客様にも丁寧な感染対策を求めます。  どこの劇場でも、開演前におしゃべりをする観客や場内で飲食する観客に、協力を求めています。  オリンピックの客席で同じことを求めるのは、関係者にとって大変なことだろうと思います。
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毎週書き続けたエッセー、忘れがたいエピソードも
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