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「八ッ場ダム」が完成すると水力発電量は激減する!? 東電に補償金を払うことにも…

八ッ場ダム完成で東電の発電所6か所に影響

東京電力の取水堰(写真/八ッ場あしたの会)

 八ッ場ダムが完成すれば、東京電力に補償金が支払われる。しかし、発電量は減ってしまう。そんなカラクリがあることをご存知だろうか。 「八ッ場ダムが完成すると、東電の水力発電が影響を受けます。その発電量が減った分の補償金を、東電が税金から受け取るのです」と語るのは、八ッ場ダム建設に反対している「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長。 「特に福島第一原発事故後、『電力が不足する』とか『やっぱり八ッ場ダムは必要だ』などという人も増えてきました。でも実際にはその逆で、八ッ場ダムができると発電量については減ってしまうのです」  東電は群馬県内に41か所の水力発電所を持っているが、そのうち、八ッ場ダムに影響を受ける発電所を同会が調べてみたところ、利根川の支流・吾妻川沿いに6か所あることが判明した。箱島発電所、渋川発電所、松谷発電所、原町発電所、川中発電所、金井発電所で、発電量は合計で最大11万2400kW。発電に使う水は、八ッ場ダム予定地の上流側にある取水堰から送水管へ入り、落差を利用しながら6発電所で電気を起こし、最後は利根川との合流点近くで川に戻る。  しかし八ッ場ダムが完成すれば、取水分の大半をダム貯水に回すことになり、6か所すべてで発電量がゼロになるか激減する。  2008年に大河原雅子衆議院議員(当時)が「送水量削減に伴う減電の補償額がかなり大きな金額になることが予想される。この減電補償額はどれほどの金額になるのか、また、その補償金がいつ支払われるのか」を質問した。  これに対して政府は、「今後、任意による交渉を経て契約に至らなければならないものであるとともに、個別企業の経営上の問題にかかわるものであることから、具体的な数値及び時期をお示しすることは差し控えたい」と明かさなかった。  川を流れる水量から同会が試算したところ、「年平均で2万kWh程度になるのでは」という。
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計画変更のたび完成時期延期、工事費増額する八ッ場ダム事業
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表紙の人/ 欅坂46

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