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空手は「寸止めか、フルコンか?」論争が勃発。フルコン“国内無差別級最強”決定戦を観に行ってみた

「寸止めか、フルコンか?」が2ちゃんで話題に

フルコン

男子決勝戦。優勝候補同士の一戦に、会場は緊迫した空気に包まれた

 前回の記事「“寸止め”空手の五輪種目決定を“フルコンタクト”側はどう思っているのか? 伝説の極真元世界チャンピオンに聞く」にはたくさんの反響をいただいた。2ちゃんねるでもスレッドが立ち、「観るならフルコンタクトの方が、面白い」「伝統派だって稽古じゃガンガン当てる」など、「寸止め空手かフルコンか?」について、ルール面、安全面、格闘技とスポーツの視点、また、そもそも空手とは、といった面などからさまざまな議論がなされ、話題となった。  そのフルコンタクト空手の「国内無差別級最強」の称号をかけた「第48回全日本空手道選手権大会」が10月22日(土)・23日(日)に東京体育館で開催されたので、実際に観に行ってみた。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1231385  3階席まで埋まった満員の会場には、歌手の長渕剛氏、元ちとせ氏、格闘家の佐竹雅昭氏、プロボクサーの内山高志氏、元プロ野球選手の下柳剛氏、スポーツライターの二宮清純氏など、多くの著名人も観戦。また、開会式ではサプライズで小池百合子都知事が駆けつけ、選手たちにエールを送った。
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開会式で選手たちにエールを送る小池百合子都知事(主催者提供)

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挨拶をする大会実行委員長の緑健児・新極真会代表(主催者提供)

拳と蹴りが肉体に打ち込まれる生音

 熱狂に包まれた会場の中央には試合場があり、緊迫した空気がピンと張り詰めている。満員の観客も一本が決まる瞬間を見逃すまいと、意識を集中している。大歓声の中、セコンドからは、「インロー!」「1分経過!」と指示が飛ぶ。テレビや動画で観るのと違って、生で観戦すると、「ドスッ」「バシッ」とグローブなしの素手の拳や蹴りが相手の肉体に打ち込まれる音が観客席まで響いてくる。  男子ベスト16、女子ベスト8が出揃った最終日の午後は、16名の男子選手たちによる「試し割り」から始まった。「試し割り」とは厚さ2.4センチの杉板を、正拳、手刀、足刀、猿臂(えんぴ、肘打ちのこと)の順で試割りすることだ。試合が再延長戦、体重差判定(男子10キロ、女子8キロ以上の差が認められた場合、軽い方が勝利)でも決着がつかない場合に、この試割りの合計枚数による「試割り判定」で決まるのだ。  ベスト8の島本雄二選手と加藤大喜選手の対戦では、再延長戦で決着がつかず、体重差でも10キロ以上の差が認められなかったため、試割り判定となり、16対8で島本選手が勝利している。  試割りはこのように判定の時のために行うものではあるのだが、観ている我々にひとつの重大な事実をリアルに教えてくれる。それは、選手たちはこれだけの破壊力のある突きや蹴りに立ち向かっているということだ。それは、対戦する選手たちの間に命がけの緊迫感を生み、観ている我々にも伝わってくる。
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女子決勝は元世界チャンピオンが完全復活!
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