ユウキロックが『M-1グランプリ2016』を振り返る「俺にとって衝撃の内容だった」
ファーストラウンド。1番手に登場した「アキナ」はウケもよく、その後、「銀シャリ」、「スーパーマラドーナ」に抜かれはしたものの、8番手まで最終決戦進出の望みをつないだのは大したもの。それだけに順番が違えば、結果が変わっていたのではと思えてならない。
1~3番手までが抜きんでる点数を上げられない中、登場した「銀シャリ」。「大本命」の前評判に恥じぬ最高の漫才を見せつけて、2位の「アキナ」を大きく上回る470点を叩き出した。そして、「スリムクラブ」、「ハライチ」が「銀シャリ」の後塵を拝す中、その2組を飲み込んだのが「スーパーマラドーナ」。2大会連続決勝進出の実力者が最大級の力を見せつけた。
8番手、「さらば青春の光」が3位に滑り込み、残すは敗者復活戦から勝ち上がるコンビのみ。昨年は8番手終了後に敗者復活戦を勝ち上がったコンビが発表されて、即漫才という流れとなっていたが、今回は3組目終了後の発表となった。視聴者投票で決まる敗者復活戦。今年は荒れることが予想された。なぜなら面白かった。コンビ1組に投票するのではなく3組に投票できたため、知名度がなくても、人気がなくても面白ければ本戦進出が可能なシステムだったからである。
敗者復活戦も激戦となった。全組を見ての俺の予想は「とろサーモン」「メイプル超合金」「かまいたち」「ミキ」。中でも「とろサーモン」の出来はよく、昨年敗者復活戦で2位だった悔しさが前面に出る気迫の漫才だった。しかし、結果は4位。リベンジとはならなかった。勝ち上がったコンビは予選9位、本戦次点であった「和牛」という順当な結果に落ち着いた。「和牛」が俺の予想に入らなかったのは、彼らが披露したネタが過去に大きな大会で披露していたネタだったからである。「ドライブデート」という最高のネタを持ちながら、それをあえてやらずに有名なネタで敗者復活戦に勝負した「和牛」。完全に「賭け」に出た。一番のネタを温存して勝ち上がるつもりだったのだ。この舞台で出し惜しみをするという大きな賭けに制し、「和牛」は9番手を勝ち取った。当然の如く、本戦では「ドライブデート」を披露。2位で最終決戦進出を果たした。
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
記事一覧へ
『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
記事一覧へ
『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ