なぜオズワルドは決勝進出を逃したのか…「M-1準決勝」を元ファイナリストが分析
昨年、「YouTuberが警察に捕まり始めている」というインパクトある暴言を吐き、栄冠を勝ち取った「ウエストランド」。なんとなくそれが現実になっているなか、M-1グランプリ2023が佳境を迎えた。
エントリー数も昨年同様1000組以上が増加し8540組。ついに1万組の大台が見えてきた。今年は長く務めていた準決勝の審査員が交代し、敗者復活戦のルールも変更。そして、決勝当日は放送時間が7時間と話題に事欠かない。
2006年「チュートリアル」が完全優勝を果たした第6回大会以来のクリスマス決戦。今年のキャッチコピーである「『漫才』が『爆発』する」コンビは誰だ! M-1グランプリ2023準決勝の開幕です!
(文/ユウキロック 撮影/中川菜美)
◆Aブロック
今年も例年同様、独特の緊張感に包まれながらスタートとなったのだが、思いの外、それが長く続き結果に響いた。
今年から準決勝進出者が5組増員となり、審査員も変更され、例年よりもフレッシュなメンバーが出揃ったように思う。だからこそ、この空気をなかなか打ち破れなかったのかもしれない。
準決勝進出者31組中、30組は11月23日に発表される。敗れた準々決勝敗退者93組に残された準決勝進出のチャンスが「ワイルドカード」である。TVerで配信されるネタ動画で視聴者から最も多くの票を獲得したコンビが準決勝進出し、トップバッターを務めることとなる。
最後の一枠を勝ち取ったコンビが「ダブルヒガシ」だ。7年連続準々決勝敗退中だった彼らだが、今年はM-1の前哨戦とも言われる「ABCお笑いグランプリ」で優勝。満を持して挑んだ準々決勝に一度は敗れたものの土壇場で踏みとどまり、初めて準決勝進出を手にした。
僕が見た「ダブルヒガシ」の準々決勝のネタはウケもよく、最高のネタであり、準決勝にストレートで勝ち上がらなかったのが不思議なくらいの出来だった。それがワイルドカードでの勝ち上がりとなり、別のネタで勝負となった。ストレートで勝ち上がり、準決勝の舞台で勝負できれば結果は変わっていたかもしれない。
2番手に登場したのが吉本興業大阪所属の「ぎょうぶ」。ストーリー性もよく、バカバカしさも際立ったものの敗退。
3番手はテレビで活躍中の「きしたかの」が漫才でも結果を出し初の準決勝進出。ボケ担当きし君が連想ゲームの如くボケを繰り出し続け、その度にツッコミ担当たかの君が怒る怒る怒る。らしさは爆発したものの敗退。
4番手は吉本興業のお笑い養成所「NSC」の東京校を卒業後、関西に拠点を移し大阪校も卒業。その後、中田カウス師匠に弟子入りするという「吉本芸人のなり方」をすべて体現した異色コンビ「ドーナツ・ピーナツ」。
大阪で活動する彼らは敗退したものの面白いボケと破壊力のあるツッコミで、馴染みのない関東のお客さんにもしっかりと通用するところを見せつけた。


ダブルヒガシ
ぎょうぶ きしたかの ドーナツ・ピーナツ
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
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![]() | 『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 ![]() |
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