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「脱ぐことに迷いはなかった」芦那すみれが語る日活ロマンポルノ

「10分に一度の濡れ場」、「撮影期間は1週間」といった独自の製作ルールも含め、映画ファンの間ではもはや伝説となっている日活ロマンポルノ。成人映画の枠組みを超え、これまで数多くの有名監督や俳優を輩出してきたが、その生誕45周年を祝う、現在の日本映画界を代表する気鋭の監督5人によるリブートプロジェクトが話題となっている。 「脱ぐことに迷いはなかった」芦那すみれが語る日活ロマンポルノ

偶然の出会いで行定勲監督から言われた「君、脱げる?」

 塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫といったそうそうたる顔ぶれが並ぶリブートプロジェクト。その先陣を切ったのが、恋愛映画の名手として知られる行定勲監督の作品『ジムノペディに乱れる』だ。板尾創路演じる映画監督の1週間にわたる女性遍歴を官能性たっぷりに描いた本作で、ヒロインを演じた芦那すみれに撮影時の裏話や日活ロマンポルノの魅力を聞いた。 ――ハードな濡れ場が求められる日活ロマンポルノですが、『ジムノペディに乱れる』に出演したキッカケを教えてください。 「去年の釜山国際映画祭に友達と遊びに行ったのですが、偶然知り合いのプロデューサーの方が行定監督を紹介してくださって。そのとき監督に『君にぴったりな役があるんだ。ただ、その役は脱がなきゃいけなくて……。君、脱げる?』って言われて(笑)。漫画みたいな台詞だなって思ったけど、『全然脱げますよ!』、と。それで日本に帰ってからオーディションを受けに行くことになりました」 「脱ぐことに迷いはなかった」芦那すみれが語る日活ロマンポルノ――長編デビュー作でいきなり脱ぐことに抵抗はなかったんですか? 「全然抵抗はなかったです。もともと日活ロマンポルノの旧作がすごく好きでしたし、実は脱ぐなら一作目で脱ぎたいなって思ってたんです。行定監督の映画でヒロインを演じられるチャンスはなかなかないし、そういった意味でも自分の中では、トライしてみたい役だなと思いました」 ――周りの知り合いにも脱ぐ役だってことはカミングアウトしていたんですか? 「周りには全然言ってるんですけど、お母さんにはまだ言ってないです。これからバレると思うんだよな……。うちの母は大阪に住んでるので、関西で上映が始まったらちょっと怪しいかなという気はします。まあ、バレたらバレたで、自分から言わなくてもいいかなっていう。一応私も、もう大人なんで。ふふふ(笑)」 ――脱ぐのが一番ハードル大変そうですが、そこは苦にしなかったんですね。 「初日の撮影シーンが濡れ場だったんです。そのときはやっぱり、ちょっと緊張しました。ただ、お芝居って心も丸裸にしなきゃいけないと思うので、そういう意味では最初に脱ぐシーンだったのはよかったですね。その後はすごくやりやすくなりました」 ――日活ロマンポルノは「撮影期間1週間」、「低予算」がルールですが、撮影中は苦労も多かったんじゃないですか。 「行定監督はすごく演出が細かくて、その場で一回動きをつけてくださるんです。『こういう風に動いてくれ』、『ここで起き上がってセリフを言って』とか一連の動きを全部まず監督がやって見せてくれて、『はい、どうぞ!』って言われるんですけど、私初めてだったのでぽかーんとしちゃって(苦笑)。多分、撮影期間が短いこともあったんでしょうけど、細かい段取りの上にちゃんと自分の気持ちを乗せて演じることが出来るか、最初は戸惑いを感じました」 ――行定監督は独特の作風で知られていますね。 「映像美にすごくこだわりのある方なので、常に自分がどう映っているのか意識しなきゃいけないっていうのは何度も言われましたね。カメラが私を追うっていうよりも、カメラに対して自分がどう映るのか。監督の頭の中に絵があって、私たち役者はその絵を実現するひとつの駒だっていうことを認識するいい機会になりました」 ――日活ロマンポルノは独自の世界観がありますが、一番の魅力はなんでしょう。 「アートや現代風刺に挑戦してる作品もすごく好きだし、でも、どこか大味な作品もあって。その振れ幅が魅力というか、自分の中で映画好きな人が最終的にたどり着くのが日活ロマンポルノみたいなところがありました(笑)。今観るとありえないシチュエーションのものも多いですし、時代性を感じますね」 ――なるほど。そんな日活ロマンポルノを一言で表すとしたら? 「『切なさ』かなぁ。私はロマンポルノの『ロマン』って切なさに繋がってる気がします。コメディ風のものとかいろんな作品がありますけど、切なさを受け入れて、それでも強く生きていくしかない女性の描写が多いと思いますね」  エロスはもちろん、その先にある作家性や人間模様も見応えたっぷり。年末年始はロマンポルノの世界にどっぷり浸ってみてはどうだろう? 『ジムノペディに乱れる』(R15+版)映像配信サービス「bonobo」にて独占配信中!  PC、スマホ/タブレット(iOS,android)、アンドロイドTV、Chromecast 対応。2,000円(税抜)/初回視聴より168時間 詳しくはこちらまで(http://pr.bonobojapan.jp/romanporno_reboot/ 【芦那すみれ】 大阪府出身。’15年、本広克行演出/平田オリザ作の舞台「転校生」で女優デビュー。TBS『ディアスポリス 異邦警察』では謎のハッカー・ラニーニャ役で話題に。BOMI名義でミュージシャンとしても活躍中 (c)2016 日活 <取材・文/林泰人(本誌) 撮影/本多誠> 提供:パケットビデオ・ジャパン
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