更新日:2022年08月21日 11:57
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「医療の現場ではトランスジェンダーの存在が認識されていない」という現実

 さらに、医療の現場ではそもそもトランスジェンダーの存在が認識されていないとの指摘も。
田村 凌氏

田村 凌氏

「自分自身がトランスジェンダー問題の当事者で現役の看護師でもあるので、特に目につくのですが、多くの医療従事者にとって、治療に関係しない限り、LGBT問題は重要視されません。なので、そもそも自分の患者に性的マイノリティがいると思っていません」  さらに、安心してカミングアウトするためには医療機関との信頼関係が大切だが、それも難しい状況にあるという。 「個人が病院に行く回数は、定期的に通院する必要がない限り年に数回程度。これでは、とても信頼関係を築くことなどできません。なので、結果として医療側はいつまでもLGBTの実情を知らず、現状を変える必要性を感じられないのです。そこで、私たちは医療機関への研修によってLGBTについての適切な知識を伝え、患者への対応スキルを一緒に考えていきたいと考えています」  医療現場では対応の遅れが、命にかかわる危険性もある。 「病院を避けるうちに病状が進み、手遅れになる患者も。早急に本腰を入れて施策に取り組むべきです」 【田村 凌氏】 ’78年生まれ。性的マイノリティの看護師ネットワーク「にじいろナースネット」の共同代表を務めている。自身も性自認が男性のトランスジェンダー 取材・文/加藤純平(ミドルマン) 金子修平 高島昌俊 藤村はるな ニシブ マリエ 六原ちず(中野エディット) ― [LGBT施策]の光と影 ―
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