日本人の平均年収はフランス貴族より高い!【ぐっちー氏】
◆円高=不況の誤解を改め、その上で内需を拡大して給料を上げることが課題
平成の竜馬はなぜ出ないのか? とか明治維新のころの日本人を見習え、などとあちこちでよく言われています。はっきりいってそんな人が今の日本に現れるわけがない(笑)。幕末~明治維新とはある種の革命です。国が吹っ飛ぶ寸前で、現状に困惑、絶望するという危機的状況においてのみ、ああいう人材が出現、登用されるのです。今や世界一豊かな日本で同じことが起きるわけがないのです。高橋是清は元奴隷にして日銀総裁から総理大臣。小村寿太郎は禁治産者にして外務大臣。現代では優秀だからといってそんな人を大臣にすれば「任命責任」とか言われて、それこそ新聞・テレビにコテンパンに叩かれて二日と持たないでしょう。我々現代日本人の平均収入を換算するとベルサイユ宮殿にいた当時の貴族よりはるかに金持ちである一方、中国人労働者の平均賃金は産業革命当時のイギリス人の最低賃金より更に安いのですよ。
この格差を認識しない限り現代の世界情勢は説明できない。ほぼすべての日本人が昔の貴族同様の生活をしている・・・となればそこに起きるのはまさにベルサイユ並みの腐敗、欲情、怠惰、無責任であることは歴史が証明しています。日本中が平安貴族みたいなものですからああいう首相が出てくるのも当然。
一方で中国人が目の色を変えて世界に追いつこうとするのも歴史の必然。ある国文学の先生に伺ったところ、江戸時代では経済力が最高だった元禄時代がやはりそういう時代で、自由な文化と言えば聞こえがいいですが、フリーターの発生(だから江戸っ子は宵越しのカネは持たねー、のです)、歌舞伎者という化粧や髪を染めた男性が走りまわり、ポルノ(春画)・不倫も全盛。何のことはない、今と同じです。結果、江戸文化は当時の欧州よりはるかに進み、文化的にも爛熟していたそうです。平成はそれよりはるかにリッチな時代。さらに現代日本に特徴的なのは、階級闘争や宗教闘争と無縁な状態ということで、これも世界史上かなり珍しい。
そうしてみると、この平成の時代、豊かな経済力を背景にした何のしがらみもない日本文化が世界に浸透していくのも不思議はない。あとは我々がそれをどう世界に還元するかという「知恵」の問題。特に政治は無茶苦茶。経済はご覧の通りで、日本経済が絶好調な結果、円高になっているわけで、恐れることはない。ただし、いくら日本の技術が優れていて輸出が増えても、皆様の給料はまったく増えないことは既にこの10年で証明済み。結果として、円高で間接的に消費者の購買力が上がり、何とかやってきたのが実情で、今や本気で内需を拡大して給料を上げにかからねばなりません。しかし、ここで増税をしようというバカな総理大臣がいます。あの~、円高以前に経済音痴のこういうアホな政治家が大問題なんです、日本は。
【今回の数字】
’11年の日本人の年間平均給与
412万円
輸出額の増加と反比例して平均給与が下がっている局面も。輸出が増えても給料は増えないのだ。円高で間接的に消費者の購買力が上がり何とかやってきただけで、今は内需を拡大して給料を上げねばならない
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)の主宰を務めている
◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
現代日本人の平均収入を換算するとベルサイユ宮殿にいた当時の貴族よりも高い。円高は日本経済が好調な証拠。ただし給料を上げるためには内需の拡大が急務だ。そんななか、増税を企図する総理大臣こそが日本経済の大問題!?
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ