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ストーンコールドとアンダーテイカーの奇妙な友情――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第294回(1998年編)

 派閥争いに加わらないアンダーテイカーはそれまで“孤高の怪人”としてのポジションをかたくなに守ってきたが、弟ケインとの因縁、ビンスとの対立といったシチュエーションがストーンコールドとのタッグ結成という予期せぬ展開を生んだ。  ストーンコールド&アンダーテイカー対ケイン&マインカインドのタイトルマッチは、アンダーテイカーが十八番ツームストーン・パイルドライバーでケインから完全フォールをスコア。  しかし、タッグ・パートナーのストーンコールドは、試合後、アンダーテイカーに向かって中指を突き立てて“敵対関係”の意思表示をし、アンダーテイカーはアンダーテイカーでWWE世界タッグ王座の2本のチャンピオンベルトを手に無言のままさっさとリングを降りてしまった。  翌7月27日の“ロウ”アナハイム大会では、ストーンコールド&アンダーテイカーが再びタッグチームとしてメインイベントに登場。コンビネーションの悪さを指摘されていた新王者チームは、いざ試合がはじまるとスムーズなタッチワークをみせ、ニューエイジ・アウトローズを一蹴し同王座初防衛に成功した(ストーンコールドがロードドッグをフォール)。  この日は試合終了後のリング上でストーンコールドがアンダーテイカーに缶ビールを手渡し、アンダーテイカーがそれをリング上でグイッと飲み干したワンシーンは、ふたりのあいだに奇妙な友情が芽生えつつあることを示唆していた。  同夜の“ロウ”の平均視聴率は4.84パーセントで、同時刻にオンエアされたWCWの“マンデー・ナイトロ”の平均視聴率は4.72パーセント。ストーンコールド&アンダーテイカーのタッグマッチは5.95パーセントの瞬間視聴率をマークした。  両番組がバッティングした午後9時から午後11時までの2時間のブロックの平均視聴率の合算は9.58パーセントで、この数字はアメリカ国内の約706万世帯が同時間帯にテレビのチャンネルをいずれかの番組に合わせていたことを意味していた。
斎藤文彦

斎藤文彦

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