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「脳みそが動いていない」侍ジャパン小久保監督が4時間46分の死闘後に見せた表情

 一方で同時に登壇した選手たちは雄弁であった。この日5打点1HRの5番の中田は不敵な笑みを浮かべつつ、延長タイブレークでの2点タイムリーについて「(前を打つ)鈴木誠也が打席に入る前、『バントでしっかり繋ぐんで、あとは中田さんよろしくおねがいします』、と声を掛けにきてくれたので、自分のなかで気合が入ったし、(結果バント成功で1死2,3塁を作った)誠也のためにも絶対に打ってやるという気持ちで打席に入りました」としっかりと振り返っていた。  延長の10、11回を無失点に抑え、勝ち投手となったもうひとりの登壇者・牧田は試合の興奮がまだ残っているのか、前をじっと見つめ、「相手打線がバッティング練習から強い打球を打っていたが、自分の得意の下から浮き上がる球を胸元に決めればホームランはないと確信していて、実際イメージ通りに投げることができた」と試合への入り方、その後のオランダ打線への対処を語った。
現役時代ヤクルトでも活躍したオランダのミューレン監督。5か国語を操り、日本語も話せるタレントだ

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 会見は海外の記者も詰めかけるため、同時通訳で行われるのだが、通訳が訳す間も下を向き、唇を噛み締め、まるで敗者のよう。直前に行われた、本当の敗者・オランダ代表・ミューレン監督が時折笑みを浮かべながら、敗戦の理由を雄弁にふり返り、日本の選手をも讃える様子とはあまりにも対照的だった。  この日の試合の感想を「一生、忘れられない試合となった」とだけ振り返った小久保監督。次は1次ラウンドでも死闘を演じたキューバと再び激突する。普段から言葉少なな小久保監督だが、勝利で2次ラウンド突破を決めて“雄弁”な記者会見を期待したい。 取材・文/遠藤修哉(本誌)
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