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弱いのか? 強いのか? ヤクルトスワローズに脈々と流れる“系譜”を訪ねる旅



 ファンは勝手だ。それぞれの生活にチームの勝敗や選手の成績を重ねている。そのファンにとってこの本はロールプレイングゲームようだ。成長が語られ、その時期に見ていた、選手・OB・関係者を訪ね歩く。そして、その時感じていた、弱さ(「負けグセの系譜」や「リハビリの系譜」)、強さ(「背番号1の系譜」)の裏側にあるものを、ときにユーモアを交え、ときにシリアスに迫る姿を、追体験する。そして、その熱いひとりのファンを快く迎え入れる、スワローズ戦士たちの懐が広いことを、自分のことのように安堵するのだ。

 プロの物書きが対象への「愛」を丸出しにし取材、そして原稿を書くことに衒いがないかと言われればウソになる。(何を隠そうこの原稿を書いている記者も、’15年秋、ペナントレースを制した、直後の真中満監督をインタビューする機会に恵まれたとき、勇気を持って小5からのファン歴を打ち明け、真中監督本人からは「え!? 浜松でヤクルトファンやってたの? 珍しいねぇ」と驚かれて、悦に入っていたことを後に少し恥じている)。しかし、その公私混同こそが、380ページもの大作を書き上げる原動力になったことに違いない。

 目下、セ・リーグ最下位(6月23日現在)。今日からペナントレースが再開する。先日のヤクルト本社の株主総会で、株主から主力に故障者続出の責任を問われた球団社長は、主砲・バレンティン、エース・小川、正捕手・中村、正三塁手・川端、正一塁手・畠山、ローテーション投手・山中の「ヤ戦病院組」の近い復活を明かした。(これは比較的大きなニュースとなったが……)

 燕は低空飛行でも、巣である神宮球場の観客動員数は右肩上がりを続けている。某ノーベル賞候補作家は「弱いからスワローズファンをやっている」と自嘲気味に言うが、それでもファンは、餌を与え、少しでも高く飛べるように、と球場に通う。現在の記者のように「いつも気づけば、神宮にいる」ファンや、かつての記者のように、地方で“ひっそりと”声援を送り続けるファンは、まだなにも諦めていない。

文/遠藤修哉(本誌)

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いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」

「明るく」「家族的で」「なぜかアンチがいない」レジェンドOB、現役選手らの証言で綴る「ヤクルトらしさ」と愛すべき「ファミリー球団」の正体。脈々と受け継がれるスワローズ「9つの系譜」





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