「赤ワイン」は肝臓が弱い日本人には有毒!?
動物性脂肪を多く摂取しているにもかかわらず、心臓病による死亡率が欧州一低いフランス人。それは赤ワインに含まれるポリフェノールが悪玉LDLの酸化を妨げ、動脈硬化を起きにくくしているからだとして、日本でも赤ワイン旋風が巻き起こった。
「日本は心臓病の発症率が最も低い国のひとつなので、わざわざ赤ワインで予防する必要はありません」(医師の奥田昌子氏)
奥田氏が心配するのは、むしろアルコールの害だと言う。
「日本人の約半数はアルコールを肝臓で分解する酵素の働きが生まれつき弱く、飲酒によって食道や大腸、肝臓などのがんを発症しやすいことが知られています」
欧米白人には、この酵素の働きが弱い人がほとんどいない。
肝臓は体重の50分の1の重量を持つ大きな臓器。日本人は体が小さい分だけアルコールと有害成分アセトアルデヒドの分解能力が低いという説もあるが、最大の原因は遺伝子の違いである。注目すべきはアルコールの毒性だ。
【奥田昌子氏】
内科医、健診医、産業医、医学博士。『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)がヒット中
【寺尾啓二氏】
化学者。シクロデキストリンを用いた機能性食品開発などを行うシクロケム代表取締役社長、神戸大学医学部客員教授。新著に『本当は健康寿命が短い日本人の体質』(宝島社)
(※)日本人とは?
「日本の国土で遺伝子を受け継ぎ、共通の生活習慣を持つ人々」(奥田氏)、「大陸との混血なく島国の中で代々生きてきた、ネイティブ」(化学者の寺尾啓二氏)。本特集では両氏の見解を折衷し「日本に生まれ育ち、現在も在住している人」と定義する
― 欧米の健康法は日本人に効かなかった ―
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