更新日:2022年08月31日 00:29
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日本人に「欧米式の食生活と健康法」は有害!? 体質の違いでダメージを受けることも

次から次へと、よくわからない欧米発の横文字の健康法が乱立する昨今。とりあえず健康によさそうだと思って取り入れると、実は恐ろしいことになる可能性も……? そんな”健康オタク出羽守”に警鐘を鳴らす!

日本人の遺伝要素と習慣に欧米式健康法は有害だった!?

医師「医療や健康法には、人種差の問題があります。欧米ではやった健康法が必ずしも日本人(※)に効果があるとは限りません。それどころか、害をもたらすことすらあるのです」  海外と日本人の体質の違いについて研究する、医師の奥田昌子氏は語る。 「体質とは遺伝的素因と環境要因の相互作用によって形成される性質と特徴を言います。遺伝子によって一生変わらない部分と、食生活、気候、喫煙、紫外線、運動、ストレスなど体に影響を与える部分の2つで成り立つものです」  個体差はあるものの、日本人は一般的に肺および肝臓がんと慢性骨髄性白血病の発症率が他地域に比べて高い、東アジアも含めて胃がんの罹患率が北米の7倍であるなどといった遺伝的要因を持っている。これらを生活習慣が強めてしまう現象を「エピジェネティクス」と呼ぶが、日本人に合わない健康法を採用しつづけているとそれを誘発する可能性が高まるのだ。  また、化学者の寺尾啓二氏は「日本人は栄養価の高い西洋食と医療のおかげで今や長寿大国となりましたが、実は健康寿命は世界で最も短い。血管が弱く、肝臓が弱く、免疫が低く、脳機能が低下しやすいという特徴があります」と話す。  これを、「欧米式の食生活と健康法」が助長してしまう恐れがあるというのだ。 「例えば、日本人は欧米人に比べて体格が小さいのに腸は2mも長いが、これは低栄養時代の名残。また、低栄養が長かったのでコレステロールや中性脂肪を吸収しやすい体になっています。高脂肪、高タンパク、高コレステロールの西洋食を基礎にした健康法では、逆にダメージとなるのです」 <日本人の体質> ・健康寿命が短い ・内臓が弱い ・血管が弱い ・代謝が弱い 【奥田昌子氏】 内科医、健診医、産業医、医学博士。『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)がヒット中 【寺尾啓二氏】 化学者。シクロデキストリンを用いた機能性食品開発などを行うシクロケム代表取締役社長、神戸大学医学部客員教授。新著に『本当は健康寿命が短い日本人の体質』(宝島社) (※)日本人とは? 「日本の国土で遺伝子を受け継ぎ、共通の生活習慣を持つ人々」(奥田氏)、「大陸との混血なく島国の中で代々生きてきた、ネイティブ」(寺尾氏)。本特集では両氏の見解を折衷し「日本に生まれ育ち、現在も在住している人」と定義する ― 欧米の健康法は日本人に効かなかった ―
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