『フリースタイルダンジョン』完全制覇の晋平太が激闘を振り返る「オファーがあったときは『自信ないな』みたいな感じでした」
「『頑張れ!』『負けるなー』という声が聞こえてきて、すごく嬉しかったですね。『フリースタイルダンジョン』って、モンスターが強くてナンボの番組なのに。僕の様子が応援してあげないとヤバそうな状況だったんでしょうね」
続く相手はT-Pablow。ここでは予想外の展開に会場がざわめくことになる。晋平太がボディタッチしてきたことにT-Pablowがガチギレ! 胸ぐらを掴み、「てめぇ後でさらっちまうぞ!」と、叫んだのだ。だが、そんな状況でも晋平太は韻を踏み続け、的確なアンサーを返し続けた。
「相手のラップに何を返せるのか考えつつ、韻を踏んで、ストーリーを作る。それが僕の基本なので、どんな状況でもラップをしようとすればそうなるんです。あと、相手が怒ったり、手を出してきたりという反応は、僕がコントロールできることではない。僕にできることは『何をされてもそのままラップする』ってことだけ。あそこで殴られても、そのままラップを続けていたと思います。ただ、あの戦いでは、先にボディタッチしたのは僕。そこは『申し訳ない』とT-Pablowくんに伝えたいです」
相手を完全にコントロールすることはできない。だが、自分はコントロールできるし、内面を見つめ直すことで、強くなることもできる。この晋平太の考え方は、MCバトルのみならず、仕事を含めて人生の様々な場面で役に立ちそうだ。
「バトルで勝つにも仕事で成功するにも、まずは自分の内側を見つめることが大事だと思うんです。僕には僕のやり方があるし、そこには確固たる自信もある。自問自答を繰り返して自分を固めていけば、人に何を言われても動じなくなる。怒られたり、嫌われたりしても、『俺はみんなに好かれるために生きているわけじゃないし』と割り切れるんですよ」
ちなみに、T-Pablowや漢のような強面のラッパーにキレられ、「怖い!」と思うことはないのかと聞いてみると……。
「全然、思いますよ(笑)。漢くんとバトルで向き合うと『体デカっ!』って思うし、あの日のバトルでも『ストリートだったらとっくにボンッ!』と殴る素振りを見せられて、不覚にも超ビビってました」(次回に続く)
<取材・文・撮影/古澤誠一郎>
殴られたとしても、そのままラップを続けていた
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