伝説の男テリーはテキサスのお父さん、ボーイズの親父さん――フミ斎藤のプロレス読本#076【テリー・ファンク編エピソード1】
初めてプロレスラーとしてリングに立ったのは1965年12月9日だというから、テリーはレスリングを通じて1960年代、1970年代、1980年代、1990年代という4つの時代をリアルタイムで生きてきたことになる。
きれいなブロンドだった髪は、濃いめのブルネットに色のトーンを変え、ふわふわだったカーリーヘアは白髪まじりのしんなりとしたオールバックになってしまったけれど、瞳のなかのキラキラはいまでもキラキラのままだ。
伝説のあとにやって来るのはイターニティーeternity(永遠、永久、不滅、不朽)なんだそうだ。テリーは、ヴィッキーさんとのつながり、ふたりの娘さんとの関係を永遠(とわ)なるものととらえている。
タイツとシューズを身につけてリングに上がるのは、おそらくあと何回かだけだろう。“生ける伝説”だってわがままをいいたくなるときもある。テリーは32年間のレジェンドにそろそろピリオドを打とうとしている。
伝説のストーリーのつづきをこしらえるのは、テリー・ファンクの動いている映像を体の内側にアダプトした現在進行形のボーイズである。テリーを尊敬し、テリーを愛した人びとのなかにそれぞれのテリー・ファンクが住んでいる。
これから10年後、20年後にはきっとテリー・ファンクではない“生ける伝説”がリングのなかを歩きまわっている。
そして、よぼよぼのおじいさんになったテリーは、アマリロの牧場でヴィッキーさんといっしょに草むしりかなんかに精を出していることだろう。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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