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年金「75歳」説の誤解。むしろ8割増の明るい未来がやってくる

年金は8割も増えた状態でもらえる

 年金の受給開始を遅らせると、その分だけ多くもらうことができるのは、よく知られた制度だろう。 「たとえば65歳から1年だけ年金の受給開始を遅らせると、将来死ぬまで8.4%増えた状態でもらい続けることができます。もし74歳まで健康に問題なく働くことができれば、その間はその給料と貯金を使ってやり繰りしやすくなります。そして75歳から年金を受給するとしたら、死ぬまで通常より8割超も増えた状態で年金を毎月もらい続けることができるわけです」  この運用難の時代に「8割超増」を国が約束してくれる、というのは驚異的な数字だ。 「こういう前向きな状態がこれから生まれてくるのです。ただ、残念ながらこういう話はほとんど誰も知らないのです。特に若い世代こそ重要な話で、たとえば2065年の段階で、65歳まで生きている女性は7割が90歳まで生きているのです。このように“人生100年”といった視点をもっていないと本質を見誤るのです。ところが、日本の広報・教育体制があまりに脆弱なことが、私たちの将来不安に拍車をかけてしまっています。この広報体制の強化こそが国の最重要課題といえるでしょう」  では、我々の今後の生活や老後は安泰なのか? 「基本的には多くの人たちが漠然と思っているほど、日本の将来は暗いわけではありません。ただ、唯一大きな心配事は、国の借金問題です。これはかなり根深くて、いつ金利が動き出すのかは誰にもわかりません。リーマンショックどころではないでしょうね。そこで、何が起こっても必要以上に慌てない、という防御策を常に心掛けることが大切なのです」  具体的に、できることとは? 「まずは、財布の“ザル状態”から抜け出し、地に足のついた生活をしっかりとできるようにしましょう。具体的には家計簿をつけるなどして、家計管理を普段からしっかりしておくことです。家計簿というと“続かない”という常識がありますが、それも、もう古い常識なんです。  私が考えた『家計ノート』は“レシート1枚につき1行”が合言葉なのですが、実際に使っている方から圧倒的に多いのが『初めて家計簿が続いた』という声です。その日のレシートが1枚なら1行、5枚なら5行書いたらおしまいです。家計管理なんて、1日わずか3分でできてしまうものなんです。  家計管理の習慣ができると自分の毎月の生活費の相場が見えてきて、自分の場合はいつから年金をもらうと一番得するのか、ということまで見えてくるのです。実は、こういう単純な習慣こそが、漠然とした将来不安を打ち消す大きな効果をもたらしてくれるものなんですよ」  漠然とした不安への対策は「日々の家計の把握から」と心得て、今すぐ始めてみたい。<取材/日刊SPA!取材班>
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