かまいたちが史上初の二冠なるか? 今夜決着「M-1」をユウキロックが徹底解説
●さや香
決勝初進出の大阪で活躍する結成5年目のコンビである。ツッコミ担当石井君、そしてボケ担当新山君からなるコンビだ。新山君はなんと26歳である。俺が芸人を志した頃に生まれたのだ。そんな芸人が決勝進出する時代が来てしまった。今年9月までフジテレビで放送していた「新しい波24」のメンバーでもあった2人だが、決勝進出者では最も知名度が低いコンビだろう。このコンビは新山君がどんどんどんどんテンションを上げていき、会場を笑いの渦に巻き込んでいく。だからこそ、新山君次第なのである。新山君がハマればホームラン。ハマらなければ三振する可能性もある。これこそ若さゆえの危うさなのかもしれない。ただ、前述したように知名度が低いなかで、準決勝ではお客さんをハメにハメて大爆笑をかっさらい、笑いの量だけならば1、2を争うくらいの出来だった。恐れを知らない若きパワーを決勝の舞台でも期待したい。
●ミキ
昨年、敗者復活戦で和牛に破れ、涙を飲んだミキが今年は正面突破の決勝初進出。ツッコミ担当兄の昴生君とボケ担当弟の亜生君からなる大阪で大人気の兄弟コンビ。2人は、「スピード」「間」「テンポ」、どれも素晴らしく技術力が高い。そして、昴生君のパワー溢れるハイトーンなツッコミの切れもいい。ただネタあってのツッコミであることを忘れてはならない。弱いボケを力技で面白くするのもいいが、強いボケを力技でさらに強くすることこそコンビを強くする。場の空気を作る力もある。勢いに乗って中川家以来の兄弟コンビ優勝を狙え。
●とろサーモン
ラストイヤーの今年、ついに決勝初進出を果たしたボケ担当久保田君、ツッコミ担当村田君からなるコンビ。久保田君の陰湿で人を喰ったようなボケが印象的だが、村田君のツッコミがとにかく素晴らしい。彼がいるからこそ久保田君が輝く。近年、あと一歩のところまで来ていたが、決勝進出の壁が破れなかった。2015年の敗者復活戦。俺が見た中では「とろサーモン」が一番の出来だった。決勝に行くと確信していた。それをある先輩に伝えたところ、「ないって。愛されない人間は結局、あかんねんて」と言われたことは今でも記憶に残っている。そして、敗者復活戦、最後の2組まで残ったのは「とろサーモン」と「トレンディエンジェル」だった。ご承知の通り、「トレンディエンジェル」はそのまま決勝へ駆け上がり、優勝までもぎ取り、超絶人気者へとなっていった。もう敗者復活戦に出ることはない。愛だの恋だの関係ない。決勝の舞台で世間に対してブチ切れろ!! 久保田!!
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
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『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
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