更新日:2019年12月20日 22:17
エンタメ

かまいたちが史上初の二冠なるか? 今夜決着「M-1」をユウキロックが徹底解説

●和牛  昨年、敗者復活戦から勝ち上がり準優勝したボケ担当水田君、ツッコミ担当川西君からなるコンビ。当然ながら昨年の実績から優勝候補と目されているのだが、彼らの漫才の形自体が審査員全員の得点を引き上げることができるのかを最近、よく考えている。細かい技術的な話になるが、彼らの漫才は最初にしゃべくりがあり、そこからコントに入る、いわゆる「漫才コント」という形式がメインである。しかし、一般的には「漫才コント」でもツッコんだときにツッコミ担当が演技をやめて、素に戻る形が漫才では多いのだが、彼らの「漫才コント」はツッコミ担当川西君も役柄のままツッコむ。この部分が引っかかる審査員がいるのではないかと感じた。昨年、俺は最終決戦を見て「和牛」が優勝するのではと思ったが、しゃべくり漫才の「銀シャリ」が優勝。「スーパーマラドーナ」含めて3組の出来はよく、紙一重だったと思うが、その紙一重の部分がこの要素なのではかという思いもある。過去のチャンピオンでは「パンクブーブー」が2人に近いが、ツッコミ担当黒瀬君もそこまで演技はしていない。しかし、その演技力の高さこそが「和牛」の魅力であり、ネタ、言い換えれば“脚本”の出来も素晴らしいのだ。前例など実力で粉々にしてほしい。

和牛

●ジャルジャル  2大会ぶりの決勝進出。後藤君と福徳君のコンビである。ネタによってボケ担当とツッコミ担当が変わるのは「かまいたち」同様だが、漫才でもその傾向がある。そういった既成概念にとらわれないことこそ「ジャルジャル」であるのかもしれない。2015年大会ではファーストラウンドで1位通過したものの、最終決戦で涙を飲んだ。『めちゃイケ』も終わる。もう勝つしかない。

ジャルジャル

●カミナリ  昨年のファイナリストで、大ブレイクを果たした2人だ。決勝メンバー9組の中で唯一ヨシモト所属ではない。皆さんも見たことがあると思うが、ボケ担当竹内君にツッコミ担当石田君が強烈なツッコミを放つドツキ漫才だ。彼らの今年の活躍はご存知の通り。それだけにネタの消費スピードも早かっただろう。しかし、準決勝では未だに色あせることもなく、伏線の張り巡らせ方もよく、完成度の高いネタを披露した。昨年は審査員が少ない5人という中で、上沼恵美子さんの得点のバラツキによって残念だった部分はある。その上沼さんは今年も審査員席に座る。気にすることはない。今年も石田君は上沼さんの目の前で竹内君の頭を思いっきり張り飛ばしてほしい。

カミナリ

●敗者復活戦  今年も例年通り敗者復活戦は地上波で生中継され、視聴者投票によって決定する。M-1の準決勝を見て、納得が行かないことの1つが「なぜ『スーパーマラドーナ』が落ちたのか?」ということだ。彼らのウケはベスト3に入るほどだった。内容的にも取り立てて悪いところもなかった。だからこそ断言するが、「スーパーマラドーナ」以外のコンビは、準決勝と同じネタを敗者復活戦でやっても勝てないだろう。それほど抜けていると思う。 「スーパーマラドーナ」の完成度に対抗できるネタを持つコンビといえば、昨年のファイナリスト「アキナ」だろう。今年は一度準々決勝で敗退したが、動画サイト「GYAO!」で行われた漫才動画の再生回数を争う「GYAO!ワイルドカード」で復活した。彼らは技術力も高く、見せ方も丁寧で、ボケ数も多い。正面から対抗出来るのは「アキナ」しかいない。  変化球で対抗できるコンビは「アイロンヘッド」か。準々決勝を見て、「決勝に行った」と思わせたほど面白いネタをしていた。ウケもよかった。ただネタ自体が「コントすぎる」と思われるところもあり、そのあたりを審査員が引っかかったかもしれない。しかし、視聴者投票ならば「スーパーマラドーナ」を覆すことができるかもしれない。  極寒の中で行われる敗者復活戦は非常に辛いと思うが、熱い戦いを期待したい。そういえば俺も、敗者復活戦敗退後に芸人人生を震え上がらせる出来事があったなー……その詳細は著書『芸人迷子』で書き綴っております。皆さん!! AmazonへGOだ!! 以上、ユウキロックでした。センキュー!! 【ユウキロック】 1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。自身の「M-1」挑戦からその後のコンビ解散までを綴った自叙伝『芸人迷子』が、お笑い業界内外で大きな話題を呼んだ
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
1
2
3
芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

おすすめ記事