更新日:2022年11月20日 10:05
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核兵器よりも恐ろしい「北朝鮮AI兵器」が日本を襲う

北朝鮮AI参謀で日米韓は苦境に!?

 経済制裁を受けて困窮している北朝鮮にとって、最新機材の調達は難しい。そのためか、高度なAI兵器を使用した例はまだ確認されていない。しかし、気になる兆候もある。例えば、北朝鮮が対韓国の諜報活動にAIを搭載した無人偵察機を使っているということが6月に確認されたのだ。 「昨年、韓国にはTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)が配備されましたが、それを撮影しようとした北朝鮮のドローンが墜落。カメラやデータが回収されています。カメラを搭載して飛行させたということは、他のものも搭載できるということ。爆弾などを積めば、テロ兵器などとして応用可能でしょう」(佐藤氏)  一方、黒井氏は「北朝鮮のAI開発の現状は、米露など先進国と比べて周回遅れ」と分析するが、海外から最新技術が流入する可能性もある。密かに開発が進められた核兵器やミサイルといった大量破壊兵器も、外国から密輸された技術が利用されているからだ。 「現在の北朝鮮の潜水艦の技術は、日本のある商社がロシアから『屑鉄』として中古潜水艦を買い取り、それを北朝鮮に売ったものがリバースエンジニアリングされて開発された。中国というAI大国が隣におり、さらに経済制裁下でも密かに中朝貿易は行われています。心臓部となるAIチップなどはすでに中国から渡っている可能性が高い」(前出の軍需企業関係者)  今、日本は北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされているが、爆弾を積んだ無人機やロボット兵器によるテロ攻撃に関しても、今後は警戒しなければいけないのだ。  なお、世界的なAI兵器のトレンドとして、戦闘管理システム(コンバットシステム)が真っ先に挙げられる。これは敵の侵入経路を予測したり、有効な兵器をどのタイミングで使用するかをAIが助言してくれるものだ。言い換えれば“AI参謀”であり、北朝鮮がもしこれを開発できれば、日米韓は抜本的な対策を迫られるだろう。 「ほかにも警備ロボットシステムや、潜水艦など海中における警備・防衛・攻撃の自動化にも、AIは威力を発揮する。水中は電波が繋がらない場所が多いので、機械が自動的に判断して動くほうが効率がよいのです」(佐藤氏)  AI兵器に関しては世界的な規制の枠組みが生まれようとしているが、北朝鮮にとっては馬の耳に念仏だろう。ミサイルのように、何の前触れもなく、突如、北朝鮮のAI兵器が日本を襲う日が来るかもしれない。 <AIを利用した最新兵器> ・戦闘管理システム 地形、敵味方の兵士数、天候、敵の侵入経路などのデータをもとに戦略策定を支援する軍事システム。AIを使うことでより高度な戦局判断ができると期待されている。韓国軍では’25年までに導入が計画されている ・ロボット戦闘車両 軍事施設や国境拠点を守る戦闘車両などが、AIによる検知・認識能力向上により警備ロボットに発展。韓国、ロシア、イスラエルなど各国の軍隊で導入が進む。最終的な攻撃判断はまだ人間に委ねられている場合が多い ・都市型戦闘用システム 市街地など特殊な状況で行われる戦闘の作戦を策定・運用するための兵器システム。高いセンシング性能を誇る監視カメラや、ドローンなどから得られる情報をAIに解析させることで、より効率的な作戦遂行が可能 ・無人戦闘機 攻撃目標を自動的に検知・攻撃する戦闘機。軍事用ドローンとも呼ばれる。自陣の犠牲者を減らし、長時間任務に対応できるため米・英などを中心に導入が進む。誤爆などの問題で人道的見地からの批判も多くある ・無人潜水艦水中ドローン 電波が通じにくい海中で活動する潜水艦や水中ドローンは、AIによる発展が特に期待される分野だ。AIにより自律航行や対象検知の性能が高まれば、長期間の隠密行動の末、ターゲットを破壊することも可能になる 取材・文/河 鐘基 池松信二
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