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名古屋は内向き&効率重視の「Aランチ都市」。定番の施設しかなく変化に乏しい!?

―[大名古屋論]―
経済は安定、メシは旨い、魅力がないと小バカにされるが、住めば都の住み心地……なぜかバカにされ続ける名古屋の底力、真の姿に迫った。

内向き&効率重視の「Aランチ都市」だが内部は押せ押せ!

名古屋港

名古屋港の貿易額は輸入も含めた総額でも全国で3位に入る。国内有数の重要拠点だ

「中京といわれるだけあって、インフラや行政機関、エンタメ施設など、都市的に不足している機能はないくらい充実しています。が、定番の施設しかなく変化に乏しい。この状況は、食堂はあるけどランチはAランチだけという、“いつもの”オンリー状態。それを揶揄してかつて名古屋の官庁街では“Aランチ都市”と自嘲気味に言われていたことがあります」  こう解説するのは、名古屋工業大学の兼田敏之教授だ。ただ、多様性の乏しさは、選ぶ楽しさよりも効率性を優先した結果といえるかもしれない。実際のところ、名古屋圏の経済はすこぶる堅調だ。  愛知県のGDPは’14年度で36兆円に達しており、2位大阪府と僅差の3位。後続の神奈川県や兵庫県を寄せつけない強さを長年キープしている。また、同年の海・空港別輸出貿易額では9兆円超えの成田空港を抑えて、名古屋港が10.7兆円で全国トップに立つ。トヨタ自動車を筆頭に、静岡県の臨海部や三重県と岐阜県にまたがった広域の工業地帯を抱えており、その中枢たる名古屋の存在は揺るぎないところがある。  しかし一方で、この内向きな堅実路線は将来の働き手に微妙な影を落とすかもしれない。  マイナビが’18年卒の大学生に行った全国調査をみると、地元以外の大学に進学した人のうち、地元でのUターン就職を希望する学生の割合は、三大都市のなかで愛知県だけ目立って低かった。地元の大学に進学した人の地元就職希望は東京や大阪と同水準であることを考えると、外向き志向の若者が離れていきやすい傾向があると言えそうだ。  その傾向自体にいい悪いはないが、名古屋という地域を守るうえでは気になるポイントだ。兼田教授は、先を見据えてこう語る。 「ひとつ言えるのは、今の名古屋は内部多様性を育むことが重要ということです。実のところ、今、名古屋の内部では、’15年度に観光客や宿泊者数が過去最多を記録したこともあって押せ押せムードになっています。しかし、やはり外向きにブレークスルーしているわけではありません。大須のコスプレサミットなど、外に向かっていける素材を育てていく地道な取り組みが重要です」  内向きから外向きへ。名古屋が日本経済を牽引する日も近い!? 【兼田敏之氏】 名古屋工業大学大学院教授。都市デザイン学の教鞭をとるとともに、研究室では名古屋の都心づくりを戦略的に考えるアプローチを長年続けている。東京工業大学大学院博士課程社会工学専攻修了の工学博士
―[大名古屋論]―
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