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みっちり、こってり、たっぷりの全日本プロレスにおなかいっぱい――フミ斎藤のプロレス読本#151[馬場さんワールド編6]

 大森隆男は、体格的にはたいへん恵まれていてマスクもいいのに、試合ではみんなをやきもきさせてしまう未来のメインイベンター。井上雅央は、体力も馬力も地力もあるけれど、そのかったるそうな表情が若手選手としてのみずみずしさをぶち壊しにしている20代の職人レスラー。  ちょっとずぼらな感じもするけれど実力的には安定している田上明は、仲田龍リング・アナウンサーの「5分経過ー、5分経過ー」のアナウンスと同時に得意のノド輪落としを決め、若いボビー・ダンカンJrを横綱相撲で退けた。  青コーナーで3人で仲よく作戦会議を練っていたゲーリー・オブライト、髙山善廣、セコンドの垣原賢人の元UWFインターナショナル・トリオは、これから時間をかけて全日本プロレスのリングの重要な登場人物になっていくのだろう。  全日本サポーターのなかのさらにコアなところにいるマニア層は、すでに秋山準を“四天王”と同ランク、あるいはそれを超えるまったく新しいサムシング、というふうにとらえている。  電光掲示板に映し出されたオレンジ色の“三冠ヘビー級選手権試合”は「教科書体」と呼ばれるやわらかくてきまじめなイメージのフォント(書体)だった。  メインイベントはいつも和田京平レフェリーへの“キョーヘー!”の大合唱ではじまる。三冠ヘビー級タイトルマッチは、王者・川田利明の右の顔面ハイキックと挑戦者・小橋健太(当時=建太)の右のラリアットのぶつかり合い、ぶつけ合いになった。  みっちり、こってり、たっぷり闘うのが“四天王スタイル”の基本である。「15分経過」「20分経過」そして「30分経過」と場内コールがくり返されるたびに、リング上の選手たちの息づかいと観客の呼吸が同化していった。  きょうのヒーローは、よりたくさんの声援をもらって、よりたくさんの汗を流した小橋だった。  1万5300人のサポーターは、ほんのちょっとあいだだけ試合の余韻にひたり、それから、名残惜しそうにしながらゆっくりと席を立った。 ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦
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