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自衛隊員のアニメオタク化が進行中!? 「規律違反でも“痛枕”で寝たい!」

そもそもアニメグッズの持ち込みはOKなのか?

 そこで気になるのは、部隊でアニメグッズの持ち込みは制限されているのかということだ。教育隊とは新入隊員の訓練所であるため、多少の規律違反は黙認されているように思える。しかし、部隊に配属となれば、厳しい規律に従順しなければならないという固いイメージが思い浮かぶ。  では、部隊においても痛枕を使用する行為は規律に違反しないのか? 「それは基地によって異なります。配属先や内務班の隊員たちの理解があれば、教育隊と違って、没収されることもありません。私のいた基地の規律は緩く、同室の隊員も自分の趣味に寛容的でしたので、除隊するまで自由気ままに過ごせました」  部隊に配属された際、営内で気をつけなくてはならないのは、室内の清掃であり、あまりにも汚い状態だと司令官が点検に来た際、注意されるようだ。部屋を常に綺麗な状態に保つことさえ普段から心がけていれば、自由に生活できたという。  しかし、これは鈴木さんのいた基地の場合であり、こんな話もある。 「別の基地で痛車に乗っている人がいて、その基地の軍司令官が『さすがに痛車はちょっと……』と難色を示し、その人を注意したらしい。それから基地では痛車に乗ることが禁則事項になったといいます」  結局は、軍司令官の言葉が規律であり、司令官がダメと言えばその行為は禁則事項になってしまうらしい。しかし、鈴木さんのいた基地の軍司令官はオタク趣味に寛容的であり、大抵の行為は認められていたという。  このように、基地によって禁則事項は異なるため、彼のいた基地以外ではひょっとすると、痛枕を始めアニメグッズの持ち込み全般が禁止されている所もあるのかもしれない。

訓練中にアニソンを歌い出す班長がいる

 一方、1年前まで陸上自衛隊にいた杉本太一さん(仮名・30代後半)の基地には隊員に影響され、美少女アニメを観賞するようになった小隊長や、訓練中にアニソンを歌い出す班長がいた。 「自衛隊にいたとき、僕は美少女キャラのプリントされたスマホケースを使っていました。あるときの飲み会で、『小隊長、こいつ面白いスマホケース使っていますよ』と話題になったことがあります。『このアニメはなんだ?』と聞かれ、『ごちうさ』という美少女アニメのキャラですと答えたら、小隊長も興味津々の様子でした」
スマホケース

体育会系らしくないスマホケース(※編集部私物)

 その小隊長は、格闘ゲームオタクであり、美少女アニメの類は全く見ないらしい。しかし、飲み会の翌日から『ごちうさ』を観賞し始めたという。  「小隊員と流行を共有することで親睦を深めたい」という気持ちでアニメを視聴したらしいが、もともと彼はゲームオタク。アニメオタクと通じる部分も少なからずあったのだろうか。スマホケースは美少女アニメを観るための口実のひとつだったのかもしれない。  さらに、杉本さんの部隊にはこんな班長がいたという。 「仰向けで寝転がり、足先だけ浮かして腹筋を鍛える体力錬成があるのですが、班長がアニメオタクで、足を浮かせる時間を“班長がアニソンを1曲歌い終えるまで”とされたことがしばしばありました。しかもあえてゆっくり。それはかなり笑えました」  班長のセレクトするアニソンは美少女ものからロボットものまで様々だったという。アニメの守備範囲が広いこともそうだが、彼の歌うアニソンが何のアニメの曲なのか分かってしまう隊員たちも相当なオタクだったことは想像に難くない。  ところで、自衛隊で美少女アニメが流行している理由はなんなのか。女性と接する機会が少ない環境のため、アニメキャラで欲求を満たしているように思えるが、実際のところどうなのだろう? 「アニメ好きな自衛官のほとんどが入隊以前からアニメオタクでした」  鈴木さんと杉本さんが口を揃えて言う。自衛隊に入ったからオタクになったのではなく、アニメ文化が若者たちに浸透している裏返しともいえよう。また、入隊者のなかには、戦艦を美少女に擬人化したゲーム『艦隊これくしょん』などの影響で自衛隊に興味を持ち、入隊したという若者も少なからずいるそうだ。  ひと昔前は、美少女アニメが好きだと公言しただけでアキバ系のレッテルを貼られてしまう時代もあったが、昨今ではネガティブな意味でアキバ系という言葉を聞く機会も少ない。要するに、ここ数年で世間がアニメを日本の誇れる文化のひとつとして受け入れたのだ。それは自衛官においても例外ではない。  規律に厳格でコテコテの体育会系という自衛隊のイメージは遥か昔の話。実際はアニメや漫画に対しても寛容な組織に変わりつつあるのかもしれない。<取材・文・撮影/相模玲司>
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