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クリス・ジェリコ独占インタビュー「1.4東京ドームは何が起こるかわからない闘いだ!」

 新日本プロレスの1.4“レッスルキングダム12”東京ドーム大会を1週間後に控え、現在、フロリダ州タンパ郊外オデッサの自宅に戻っているクリス・ジェリコに電話インタビュー。ケニー・オメガとの試合について、“ノーDQルール”となったいきさつ、新ニックネーム“ミスター・メインイベント”宣言、そして内藤哲也のコメントに対する返答などをじっくり語ってもらった。(インタビュアー=斎藤文彦)

クリス・ジェリコ

クリス・ジェリコ

――ケニー・オメガとのシングルマッチが“ノーDQ”マッチ、つまり反則裁定のない試合、完全決着ルールの試合に変更されました。

ジェリコ:ノーDQルールをリクエストしたのはオレです。オレからの要求を新日本プロレスが検討し、ルールが変更された。ふつうの試合、ノーマルな試合にはならない、という意味です。

――DQ(Disqualification=反則裁定)がないということは、通常の試合では反則負けになるような行為、危険な攻撃、場外乱闘などがあった場合でもレフェリーは試合をストップしない。両者反則、両者リングアウト、ノーコンテストのような裁定もないということですよね。

ジェリコ:そうです。それがこの闘いに対するオレの考え方mind setでした。ケニー・オメガもそれを受け入れた。ノーDQルールになったことで、もう歯止めはなくなった。なんでもできる。なにが起こるかわからない。オレは新日本プロレスからこの発表があったあとの世界じゅうworldwideのリアクションを楽しんでいる。

――世界じゅうというのは、日本のファンとアメリカのファンによる同時進行の反響ですか。

ジェリコ:日本とアメリカだけでなく、ヨーロッパのプロレスファンも、南半球のプロレスファンも、スペイン語圏のプロレスファンも。ソーシャル・メディア(SNS)を中心とした世界同時発信のリアクションです。今回のオメガとのシングルマッチは、オレがこれまで経験してきたどんな試合ともまったく異なるレベルの闘いです。そういう意味ではオレ自身、すごく興奮している。

――ふつうの試合にはならない、なんでもできる、なにが起こるかわからない、とはどういう試合をイメージすればいいのでしょう?

ジェリコ:カラー・アンド・エルボー・タイアップ(ロックアップ)からサイド・ヘッドロック、テイクダウン、ショルダー・ブロックといったオーソドックスなレスリングの試合にはならないという意味です。オレが福岡(12月11日)で彼を襲い、彼が東京(12月12日=記者会見)でオレを襲った。これでノーDQマッチの条件が整った。この闘いにはこのルールしかありえないThe match is where it needs to be. This is the only way.

――はじめからそういうデスマッチ的な試合を想定していたのですか?

ジェリコ:それがプロレスというジャンルのすばらしいところ、オレ自身がいちばんエンジョイできる領域なんだけど、それまではエンターテインメントとして理解されていたはずのものが、ある瞬間から現実の主張に変わるときがあるんだIt crossed into reality.

――この試合に対する気持ち、姿勢はあくまでもリアルであると。

ジェリコ:運命的なものを感じているIt is fate。クリス・ジェリコとケニー・オメガの闘いは、どちらがベターなレスラーなのかとか、どちらがより優秀なアスリートなのかとか、そういうことを競い合う試合ではない。もっともっと大きなものが懸かった闘い。アルファAlphaとオメガOmegaの闘い。“レッスルマニア”よりも大きな闘いだ。

――WWEの祭典“レッスルマニア”よりも大きな闘いですか。

新ニックネーム“ミスター・メインイベント”宣言


ジェリコ:これからはオレを“ミスター・メインイベントMr.Main Event”と呼んだほうがいいぞ。“レッスルマニア”のメインイベント(“レッスルマニア18”=2002年3月17日、カナダ・トロント、スカイドーム大会のメインイベントで世界統一ヘビー級王座をかけてトリプルHと対戦)と“レッスルキングダム”のメインイベント。

――WWEの“レッスルマニア”と新日本プロレスの“レッスルキングダム”ですね。

ジェリコ:そうだ、このふたつのスーパーショーでメインイベントをつとめたプロレスラーはこの世でオレだけだ。『ローリング・ストーン』誌、『ニューヨーク・タイムス』誌にもちゃんとそう載ってる。アメリカのマスメディアも今回の東京ドームの試合にはすごく関心を示している。もうオレ自身が情報をコントロールできるレベルを超えてしまった。

――やはり、WWEスーパースターのクリス・ジェリコがWWEではないリング、新日本プロレスの東京ドームのスーパーイベントで試合をおこなうことが大きなニュースになっているわけですね。

ジェリコ:これはオレにしかできないことだ。世界じゅうのプロレスファンがニュージャパンNew Japan Pro Wrestlingの東京ドームTokyo Domeに注目している。

――WWEのファン、WWEユニバースと呼称されるファンは、世界的な傾向としてWWE以外のプロレスにはあまり興味を持たないといわれています。それと同じように現在進行形の新日本プロレスのファンも新日本プロレス以外のプロレスはあまり観ていない。

ジェリコ:それもわかっている。ニュージャパン・ワールドNew Japan Worldと呼ばれる観客層だね。そういう意味では、WWEユニバースUniverseとニュージャパン・ワールドには共通点がある。現在進行形のニュージャパン・ワールドはたしかにオレのことをあまりよく知らないかもしれない。クリス・ジェリコの名は知っていても、WWEスーパースターだということ以外、なにも知らないかもしれない。だから、こう考えればいいんだ。

――どう考えればいいのですか?

ジェリコ:ガンズ・アンド・ローゼズをひとつの例として考えてくれ。ガンズが世界的なヒットメーカーだったのは1987年から1993年の7年間。オレの年齢でいうと17歳から23歳までの7年間だ。ガンズはいちど解散し、それから25年後、新しいアルバムをひっさげてメジャーシーンに復帰してきた。いま17、18歳の世界じゅうの音楽ファンは、90年代のアルバムまで戻ってガンズの音を聴いて、ガンズのなんたるかを勉強しているわけさ。

――そうかもしれませんね。

ジェリコ:オレ自身は今回、東京ドームで新日本プロレスのリングに上がることで、90年代、00年代のオレのことをよく知っている古くからのファンを喜ばすことができたと思っているし、それと同時にまったく新しい層のファンを獲得したと考えている。それから、もうひとつ重要なことは……。

――もうひとつ重要なことは?

ジェリコ:オレはノスタルジア・アクトではないということだ。オレと同世代のスーパースターたち、“ストーンコールド”スティーブ・オースチンは引退し、“ザ・ロック”ドウェイン・ジョンソンはハリウッドのアクション俳優、トリプルHはWWEのエグゼクティブだろ。

――たしかにそうですね。

ジェリコ:ロックもトリプルHも、たまにリングに上がることはあるが、それはあくまでもノスタルジア・アクト。オレはそうじゃない。いまでもプロレスラーとしてトップレベルにあり、ずっとトップのポジションにいる。いつでも現在進行形のクリス・ジェリコだ。ダイバーシティーDiversity(多様性)とロンジェヴィティーLongevity(寿命が長いこと、継続期間)だ。デビッド・ボウイの方法論と同じ、というふうに理解してもらっていい。

――ダイバーシティー(多様性)とロンジェヴィティー(継続期間)ですね。
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内藤コメントへの返答「恥を知れ!」

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