更新日:2022年11月29日 11:50
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バカッターを狙うネット炎上仕掛人の言い分「ニートはストレスがたまる」

ニート

当時は社会の底辺だったし、劣等感もあった

 西村さんは1年半ほど炎上ネタが生き甲斐のニート生活だったという。そのキッカケとは……。有名国立大学を出たが、「そんなに頑張りたくなかった」という西村さんは地元の中小企業に就職した。だが、そこで待っていたのは高学歴ゆえの“いじり”だった。 「同期は中堅以下の大学ばかりでしたし、上司のなかには高卒の生え抜きも多かった。本当はおとなしく目立たないように過ごしたかったんですが、営業成績が悪いと『頭は良くても仕事は並以下なんだな(笑)』とかしょっちゅう。ノルマもキツくて、上司が『土下座営業で契約をとってきた』とか自慢するような古い体質の会社だったので。僕にはそういう体育会系みたいなノリが合わなかったんでしょうね。出社する前に毎日吐くようになって。1年近くは耐えましたが、朝起きたらすべてがどうでもよくなって。そのままバックレてしまいました。両親のところにも連絡がきて、3月末で退職ということになりました。たぶん、うつ病になっていたと思います。きちんと病院で診断されたわけではありませんが」  地頭が良くても肉体的・精神的に頑張ることは嫌い……そんな西村さんにとって、はじめての挫折だった。頼れる友人などはいなかったのか。 「大学の友人はいましたが、みんながそこそこの企業でちゃんと働いているなか、当時の自分はニートで。劣等感もあって、言えませんでした。特にやることもなく、毎日ネットサーフィンばかりしてました。炎上させるのは、日頃の憂さ晴らし。まあ、ニートなんで大してストレスなんてないと思われるかもしれませんが、人間にとって社会からの疎外感や何もしていないことほどしんどいことはないですよ」 炎上仕掛人 西村さんは実家に戻り家賃を節約しながら、ハローワークで「就活をしているフリ」をして手当を受け取っていた。しかし、いつまでも実家にいるわけにもいかず、再就職を決意した。 「趣味でホームページやサイト運営もやっていたので、ネットには強かったと思います。だから、IT系のベンチャー企業に入りました。そこでコンテンツマーケティングの仕事をはじめましたが、むしろニート時代の経験が活きていますね。あえて自分たちのコンテンツをプチ炎上させて、アフィリ収入を増やしたりとか……」  どこにでもいそうな雰囲気の西村さん。「ヒマだったから」「日頃の憂さ晴らし」。いまやだれでもネットやSNSを扱う時代となったが、もしかすると、あなたの隣にいるひとも“炎上仕掛け人”かもしれない。<取材・文/小倉ミミ>
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