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出向先で煙たがられる負け組50代の主張「親会社からきた人間に敬意を払ってほしい」

給料泥棒、ガハハおじさん、名誉副部長etc. 存在自体が目障りな50代社員はどの会社にもいるが、彼らとて望んで“負け組”になったわけではない。負け組50代の主張と打算に耳を傾けつつ、誰もが通る“加齢”の恐怖にどう抗うか、その中から学んでいこうではないか。

親会社のプライドを捨てきれず、出向先で同僚から煙たがられて孤立

…柄本一平さん(仮名・50歳)機械メーカー/年収590万円/勤続4年
柄本さん

「親会社には残れなかったが、そこで長年培った経験やスキルはまだまだ通用するはずだし、還元してきたい」と柄本さん。しかし、若い社員たちからアドバイスを求められることはほとんどないとか

 大企業に入社しても、50代になれば居場所を失って子会社に飛ばされる人も少なくない。4年前、大手機械メーカーからグループ企業に転籍となった柄本さんもそのひとりだ。 「覚悟していたとはいえ、年収が120万円も下がったのはキツかったですね。それでも辞めなかったのは、年齢的なこと以上に、親会社から来た人間として逃げるようなマネはできませんから」  親会社は誰もが知る一部上場企業。そこの社員だったことは自身にとっての誇りとか。本人は見下しているつもりはないそうだが、「自分は親会社採用。ほかの同僚たちとは違う」という気持ちを持っていることは否定しない。 「今の職場では営業を担当しているのですが、仕事の進め方が親会社と比べて甘いというか緊張感が足らないような気がします。自分にはバブル後の厳しい時期を乗り切った経験と自負があります。でも、職場の連中は私の話に耳を傾けようとしないんです!」  そう憤るが当時と現在では状況が異なる。それを理解せずに講釈を垂れる逃げ切り世代をウザいと思う下の世代は多い。事実、「同僚と飲みに行くことはほとんどない」と語る柄本さんも自分より年下の社員が多い今の職場では浮いた存在のようだ。 「突然、課長として出向してきたので快く思ってない社員も多いのでしょう。ですがそこは社会人として敬意を払ってほしいですね」  むしろ歩み寄るのは、親会社のプライドを捨てきれない彼のような気もするが……。
愛犬

バツイチで現在の家族は愛犬だけ。出向後は仕事のグチを愛犬にこぼしてばかりとか

― 負け組50代の背中 ―
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