ICOの失敗事例
前回の記事でも書いたようにTezosは230億円ほどの資金を集めましたが、いまだに上場している取引所がないため、多くの投資家は換金することもできず、トークンも付与されず、ただただプロジェクトの進捗を待っています。
「Tezos」はプロダクトの開発が進まず、一時的な高値形成後は低空飛行が続く……
また、先日は米仮想通貨取引所ビットコネクト(今年1月に閉鎖)が発行するBCC(ビットコネクト・コイン)が一日で-93%安を記録する暴落もありました。貸し付け機能のあるBCCが「登録されていない有価証券」と見なされ、テキサス州証券取引委員会から1件、ノースカロライナ州国家安全保障局長官から1件ずつ、2件の休止および不服申請書を受け取ったことにより、取引所閉鎖となり、多くのビットコネクトホルダーにとって悪夢となる出来事が起こりました。
BCC(ビットコネクト・コイン)を発行する米取引所ビットコネクトの閉鎖等を受けて、BCCは大暴落
また、日本でも有名人を広告塔に起用したプロジェクトがいくつか発足していますが、注意が必要です。元々ICOに投資をしていた方ではなく、初心者からお金を集めようと、一攫千金を夢見る大衆層に馴染みのある有名人を起用するプロジェクトが増えている印象です。このように、有名人を起用して初心者から資金調達を行うといったプロジェクトも今後増えていく可能性があります。
こういったプロジェクトの参加は勢いで投資をするのではなく、自身で本当に魅力的なプロジェクトなのかどうか精査される視点を持つことをおすすめします。
どの投資商品でもそうですが、ICOは一人一人の自己責任・自己判断の上で購入をするものです。どんなに怪しいプロジェクトでも関係者が「現在プロダクトを開発中」と発信し続ければ、詐欺の立証は難しいでしょう。当たれば確かに想像を超えるパフォーマンスの資産になる可能性もあるわけですが、うまい話しや「○○倍になるよ!」と人づてに情報を聞いたらまずはご自身で調べてみましょう。
私自身、多くのプロジェクトに参加してきましたが、チーム側が「トークン価格は○倍になる!」と豪語してるプロジェクトほど怪しさが増します。もちろんマーケティング戦略を考え、通貨の価値をどのように上げるかは上場株式の株価対策同様、議論されているテーマなわけですが、株式の場合、株価対策の情報が一投資家に伝わることはまずありえません。
仮想通貨は比較的他の投資商品と比べてプロジェクトチームとの距離が近いため情報を掴むことができますが、価格について言及するプロジェクトには一度何を根拠に言えるのか確認してみるといいと思います。
今年もたくさんのプロジェクトがICOを行うと思います。定期的に私が経験したことをできるだけ噛み砕いて皆様にお伝えしていこうと思っていますので、是非ご自身の目で有望なプロジェクトを探すことに挑戦してみてください。
一度、有望銘柄を探し当てた時の興奮と熱狂を体験したらあなたもICO投資の虜になると思います。Twitterでは私が関わるプロジェクトや有望だと個人的に思うプロジェクトについても投稿してますので是非気軽にフォローしてみてください。
【ICOアナリスト kuni(@DTkabu)】
株で稼いだ1000万円を元手に’17年から仮想通貨投資を開始。同年6月からはICOに手を広げる。これまで精査したICOは250件以上。そのうちの1件、集合知とAIを活用した金融プロジェクト「Cindicator」ではアンバサダーに就任。「OmiseGO」のプロジェクトでは、日本人コミュニティーのマネージャーに指名される。さらにVR空間内での広告ネットワークを実現する「GazeCoin」のプロジェクトには唯一日本人としてアドバイザーとして参画。スイス発のデジタル金融サービスのプラットフォーム「SwissBorg」にもICOアナリストとして参画。ICO投資家でありながら、ICOのインサイダーとしても活躍