更新日:2022年12月14日 01:14
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福島第一原発から8km、帰還住民を待つ浪江町の仮設商店街

買い物の場所としてだけではなく、住民同士の交流の場にも

まるしぇの内部

「まち・なみ・まるしぇ」は浪江町役場に隣接し、浪江駅から徒歩15分ほど。定休日は店舗によって違うので、HPなどで確認されたい

「まるしぇ」の客層は、帰還した住民や、視察や旅行で訪れた人、原発関連の作業員が中心だ。公設民営商店街のため店舗の賃料は無料だが、まだまだ収益を出していくことは難しい。その赤字部分は浪江町商工会が持ち出しで補填しているという。 「厳しい状況ですが、徐々に地元のお客さんも訪れるようになってきた。浪江町の伝統的な佃煮を置いてみたのですが、それが『懐かしい』と、地元の方が喜んで買ってくれています。また、時計店や服飾店にも出店してもらったところ、徐々に来る人が増えています。 『ミッセなみえ』には無料のカフェ・スペースを設置しました。『まるしぇ』に入っている飲食店はお昼の時間が終わるとすぐに閉めてしまうので、『話す場所がほしい』という地元の方の要望に答えたかたちです。少しでも住民同士が交流してもらえれば、と思っています」

これから戻ってくる人たちのためにも、何とか頑張るしかない

 取材中も地元住民の方が何人か店を訪れていた。金澤さんは気さくに声をかけ、お客さんの声に耳を傾けていた。スーパーマーケットに行くには、クルマで30分かかる南相馬市原町区まで行かなければならない。浪江町に戻った人たちにとって、この『まるしぇ』が重要な存在になっているのだ。  金澤さんは浪江町の将来についてこう話した。 「まだまだ先を見通せないというのが本音です。県外の人にはぜひ一度で浪江町に来てほしい。この町のいい部分も悪い部分も含めて、復興の現状を実際に見ていってほしいんです。我々も門を閉じていてはいけないと思います。この『まるしぇ』についても、『役に立たないだろう』という声が当初からありました。原発事故という事情がある中での再出発ですから、厳しいのは当然です。でもこれから戻ってくる人たちのためにも、何とか頑張るしかない」 <取材・文/白川徹>
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