レイプ発生率全米1位の都市を変えた「パブリックセーフティ」って何だ?
『ロボティア』編集長でAIに詳しい河鐘基(ハ・ジョンギ)氏は言う。
「例えば、1秒未満の短い時間でクラウド上にある100万枚以上の画像データをAIが照合し、人物を特定するというような技術はすでに実用化されています」
防犯・治安維持分野では、検挙率や防犯率が格段に高まる。「米国ではメンフィス市の例は特筆すべき」と話すのは犯罪学者の小宮信夫氏だ。
「私も実際に見ましたが、メンフィスでは現場データ、地理・天候データ、犯罪者データなどさまざまなデータを使って、AIで犯罪を予測するシステムを運用しています。メンフィス市の人口は約60万人。検挙率も一挙に上昇してきました。日本の各都市への導入モデルになるでしょう」
同市は過去にレイプ発生率が全米1位という“無法地帯”だったが、データ解析手法を徹底させることで、性犯罪を大きく減少させてきた歴史を持つ。その犯罪抑止プログラムは「ブルークラッシュ」と呼ばれており、運用から6年で犯罪全体の30%、暴力犯罪20%をそれぞれ減少させることに成功した。その統計解析の背後に、AIとデータを使った行動予測・解析技術があるのだ。
取材・文/池松信二 千吉良美樹 写真/河鐘基 写真提供/AFP=時事 1
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