スポーツ

松坂大輔の復活登板 球場が沸いた意外な場面

バッター松坂登場で球場のボルテージが上がる

打席でボールを見送る松坂大輔。1球ごとに観客から感嘆の声が漏れた

打席でボールを見送る松坂大輔。1球ごとに観客から感嘆の声が漏れた

 ピッチングももちろん盛り上がったのだが、この日一番の盛り上がりを見せたのは2回の裏、ドラゴンズの攻撃。先頭打者の高橋周平が四球で出塁すると、女房役である大野将太の3塁ゴロの間に進塁。2アウト2塁という得点圏で松坂に打順が回ったときだった。  バッティング好きを公言する松坂はSPA!本誌でのインタビューでこんなことを語っていた。その時のやり取りを抜粋しよう。 ――キャンプではバッティング練習で柵越えもあり「松坂大輔の打撃を見たい!」というファンが、わざわざ足を運んだとも聞きます。DHのないセ・リーグでは、松坂選手のバッティングに期待しているファンも多いと思います。 松坂:ハハハ。もちろん、僕は投げることで一番貢献しなければいけないですけど、打席に立つ以上は、簡単には打ち取られたくないですね。少しでも相手のピッチャーに圧力をかけたいし、簡単に打ち取られるのは悔しいと思うので、なるべく楽をさせないような状況にはしたいですね。 ――コンディション調整的にバッティング練習をするピッチャーは珍しくありませんが、松坂さんは打撃自体が好きなのでしょうか。 松坂:好きですね。キャンプ中、2、3回くらいかな、屋外で打たせてもらう機会があったのですが、やっぱりしばらくバットを振っていないと、バットって振れなくなるものだなって感じました(苦笑)。周りからは(打球が)飛んでるね、とか振れてるね、とか言われましたが、自分の感覚だとやっぱり「振ることを身体が忘れていたんだな」と。最近はバッティング練習で「結構、バット振れてきたな」って感じてます(笑)。 ――川上憲伸さんとの対談ではバッティング話で盛り上がっていましたね。 松坂:さすがに憲伸さんにはかなわないですよ。憲伸さん、ナゴヤドームのライトにホームランを打ったことあるじゃないですか。あれはホント、ビックリしたのを覚えています。 ――ぜひ、松坂さんもバックスクリーンにホームランを。 松坂:いやいや……まだアメリカ行く前だったら(笑)。正直、飛距離には自信があって、バッティング練習でもバックスクリーンに普通に入っていたので。渡米前は甲子園で1本しかホームランを打っていませんが、甲子園の左中間に打てたのはいい思い出ですね。(週刊SPA!3/20・27合併号より)  こんなやり取りがあったので、記者も松坂の打席には大いに期待をした1人だった。結果はショートゴロだったが、バットに当てた瞬間の球場内のどよめきは、誰もがその一打に期待をした証拠であった。  結局、松坂は5回96球、被安打8、2点の自責点で敗戦投手となった。しかし、被安打8のうち、痛打されたのはゲレーロの先制タイムリーとマギーのフェンス直撃の2塁打くらい。また、5つの三振を奪ったことも目を惹くところだ。芯を外す投球術にさらに磨きが掛かれば、完全復活に大きく前進することになるだろう。あるスポーツ紙の記者はこの日の松坂をこう評価した。 「1巡目は何とかして、2巡目からは巨人打線の餌食になるかも……と思っていたが、蓋を開けたらのっけからピンチの連続(苦笑)。先頭バッターを3度も出して、味方のエラー、際どいというか不運なヒットも重なって、それでも3失点で押さえたのはこれまでの松坂の状態からしたら大きな進歩でしょう。ただ、完全復活は近いかと言われたら、私はそれはまだ先だと思う。でも、芯を外して打たせる、タイミングを外させるピッチングは圧巻だった。それが5三振という結果じゃないかな。いずれにせよ、ケガなく順調にいけば今日以上のピッチングは期待できるんじゃないかな」  余談だが、この日は終盤に上原浩治、岩瀬仁紀という43歳コンビも登板。球界のレジェンドクラスの投げ合いは、いずれもピシャリと抑える圧巻の投球で球場を沸かせた。37歳松坂大輔、まだまだ老け込むには早すぎる年齢だ。<取材・撮影・文/長谷川大祐(本誌)>
日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
1
2
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート