「会社を辞めてMBA留学」を、おすすめできない理由
【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
◆会社を辞めてMBA留学しようか迷ってます
いつかはビジネスエリート(ペンネーム) 会社員 男性 34歳
今年で35歳を迎える独身男です。今、留学(MBA取得)しようか迷っています。現在の職場に不満はないものの、私の仕事は将来的にAIに取って代わられてしまうのではないかと思うような事務が中心の仕事です。
また、業界の先行きも不透明です。そこで、家族もローンもない現在の状況を考慮し、専門的な知識が身につくMBA取得を考えるようになりました。私の会社には社費でのMBA留学制度はなく、取得のためには会社を辞めねばなりません。また、私費留学のため莫大な費用がかかります。
このまま今の会社に居続けてAIに職を奪われるリスクと、留学に失敗し現状よりも悪い状況におかれてしまうリスク。これらリスクを踏まえ、どちらの道を選ぶべきでしょう。
◆佐藤優の回答
日本には米国のビジネススクール信仰があるので、MBA(経営学修士)取得がいかにも重要なことと捉えられていますが、実際は大したことではありません。「iTune University」のようなインターネットサイトには、各国の名門大学のビジネススクールの講義がアップされていますので、情報ならば無料で得ることができます。なぜ、私がこのようなことを言うかというと、アメリカでの大学授業料が異常に高いからです。
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日本の国立大学や私立大学とアメリカの大学のあいだの交換留学というのは特殊な大学を除いてほとんど成立しません。
なぜかというと、ハーバード大学の年間の授業料(アメリカの大学はほぼ全寮制なので寮費を含む)は700万円。カリフォルニア大学のサンタバーバラ校が600万円程度と言われています。日本の東京大学は53万5800円。700万円の授業料を払ってわざわざ53万5800円の大学に留学したいと思う人は少ないでしょう。
交換というのは、アメリカから1人来るから、日本から1人送り出せるわけで、こうした日米間の教育費用格差があって交換留学は非常に成立しにくくなっています。ただし、ある意味、それは日本の大学の授業料が比較的安いということでもあるんですね。
(『埼玉県立浦和高校――人生力を伸ばす浦高の極意』134~135頁)。
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34歳になって一旦、仕事を辞めてMBAを取得するとなると、トータルで2000万円程度を準備しなくてはなりません。それだけのお金を使う価値があるのか、じっくり考えてみることをお勧めします。
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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