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海産物がヤクザのしのぎになっている…暴力団、外国漁船が高級魚を密漁

海の幸が豊富な日本で、高級魚や貝を狙った密漁が横行していることをご存じだろうか? 暴力団や外国籍の密漁船による乱獲は、未来の食卓事情をも変えてしまいかねない。瀬戸際で対抗する漁業関係者など、その実態を追った

密漁が日本の海を殺す

沿岸部では暴力団、沖合では海外漁船が密漁を続ける実態


 真っ暗な海の夜。ライトもつけずにひっそりと漁をする。小型のボートで沖合に繰り出し、網を張る……。そんな密漁による逮捕者のニュースが目立つようになってきた。

 例えば、近年不漁が続き、価格の高騰が止まらないウナギ。今年4月には、静岡県でのシラスウナギの密漁で男2人が逮捕された。また、2月には有明海で赤貝を密漁した老夫婦が、改造ボートで逃走する光景もテレビを賑わせた。

 水産庁発表の’15年のデータでは、沿岸密漁の摘発において、漁業者以外の摘発件数は過去最多を更新。一般人や暴力団が密漁に手を染めている実態が明らかになり、大きな社会問題になっている。

「暴力団が密漁を行う魚介類は、主にシラスウナギとナマコ。シラスウナギは漁獲量が減ったことで密漁も減っていますが、今も暴力団のしのぎのひとつです」

密漁が日本の海を殺す

ウナギなど値段が高騰している魚は特に密漁のターゲットにされやすい

 そう話すのは暴力団による密漁の取材を続けてきたジャーナリストの鈴木智彦氏。ナマコは、「北海道のものなどは中国に高く売れ、乾燥させたものは1kg15万円ほどになる」という。ボートで繰り出し、ドライスーツに酸素ボンベを付けて獲る手口はプロ顔負けだ。

「ナマコは乱獲で枯渇が進み、かなりの深度でしか捕獲ができなくなりました。カネになることが周知されたことで、漁師からの告発も増え、取り締まりも強化されています。それでも暗い夜にライトもつけず、命の危険を冒して密漁を続ける者はいます」

 では、そもそもどのような行為が密漁にあたるのか? 簡単に言えば、「漁業権」という免許なしに漁を行うことだ。これは水産資源を守るためのもので、各自治体が管理しており、法人団体や漁協(今後は一部企業にも)に付与される。神奈川県の例を見てみよう。

「神奈川県では神奈川県海面漁業調整規則により、多くの沿岸部で漁業権を設定。そこで、漁業権を持つ漁協の人以外が操業すれば、漁業権の侵害になります。一般的な釣りでも、獲れる魚介類や漁法、漁具に規定があります」(神奈川県環境農政局農政部水産課)

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沖合も密漁が後を絶たない

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