離職率80%のブラック広告代理店を退職。元上司に放った「仕返し」の一言とは?
一時期に比べると労働環境改善に取り組む会社が増え、社員の残業や休日出勤といった時間外労働は減少傾向にある。だが、これはまだ一部に過ぎず、深夜残業も当たり前というブラックな職場はまだまだ存在する。
現在は両親と一緒に実家の温泉旅館を切り盛りする小塩圭太さん(仮名・44歳・既婚/旅館専務)だが、「3年前まで働いていた広告代理店は、1か月の残業が80時間を超すこともあるまごうことなきブラック企業だった」と明かす。
「社長は業界上位の代理店で常に成績上位だった元スーパー営業マン。何事も自分を基準に考えてしまうのですが、社員20名足らずの零細代理店に社長の求めるレベルに応えられる能力をもった社員はほとんどいません。そのうえ“仕事は見て覚えるもの”という時代錯誤も甚だしいポリシーを貫き、それでいて契約を取れない社員には『給料ドロボー』や『クズ』、『無能』などの言葉を浴びせるなど口も悪かった。プレイヤーとしては超優秀でもコーチとしては最低の“名選手、名監督にあらず”の典型みたいな人でしたね」
そんなワンマン社長は小塩さんよりも年下だったが、もちろん年齢は関係なかった。この会社に5年間勤めていたが、その間の社員の入社1年以内の離職率は80%。なかには出社初日、わずか1時間で「トイレに行ってきます」と言い残して消える者もいるほどだった。そのため、会社では常に求人を募集している状況だったという。
連日23時過ぎまで続く残業で身体を壊す社員が続出していた。しかし、それでも社長は自分の基準を曲げようとしなかった。
「体調不良や病気で欠勤の連絡を入れた社員に対して、『俺はどんなに体調が悪くても出社して、ちゃんと仕事をした。お前も社会人なら這ってでも会社に来い!』と言い出す始末です。営業先には契約欲しさに下手に出るけど、社員にはたとえ自分に非があっても絶対に折れようとしなかった。意見しようものなら『嫌なら辞めろ!』ですからね」
さらに社員同士を競わせ、序列をハッキリとつけようとしたのでチームワークはなく、顧客の奪い合いは当たり前。職場の雰囲気は殺伐としており、契約の横取りで社員同士で殴り合いのケンカになった現場を目撃したこともあった。
「社員同士のそうしたトラブルには社長は介入しません。社長が独立前にいた代理店の方に聞いたところ、自分も契約の横取りを頻繁にやっていたそうで、社内でも相当嫌われていたようです」
そんな状況ゆえに会社に残っているのはイエスマンと社畜ばかり。それでも何度か社長をたしなめようとしたが逆に煙たがられてしまい、最後は愛想が尽きて会社を去ってしまう。
「自分で辞めろと言ったクセに、辞表を出したら『裏切り者!』ですからね。開いた口がふさがりませんよ」
小塩さんは、現在の専務として働く実家の温泉旅館では、従業員とのコミュニケーションを密に図り、チームワークでよりよいサービスを提供しようと心掛けている。かつての上司である社長を反面教師にしており、「その点では感謝している」ともいうが……旅行会社への営業で久々に東京を訪れた昨年、その社長と偶然再会してしまったという。そこで事件が起きる。

社長は元敏腕営業マン。自分より仕事ができない社員を無能扱い
病気で欠勤の連絡をしてきた社員に「這ってでも会社に来い!」
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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