お金

仮想通貨盗まれた男の自宅に初潜入――「お金0.0」ビットコイン盗まレーター日記〈第17回〉

待ち合わせよりも早く到着したにもかかわらず、親友さんは既にお店で呑んでいた。 親友「あれぇ、奇遇ですねぇ。どうしたんですか?」 出野「奇遇ですねぇ!」 SPA!での連載で見たやり取りだ。本当に言うんだ。 出野「こちら!僕の話を漫画にしてくれるクニさんです!クニさん!こちら親友さんです!」 親「どうもどうも。世古井ともうします。」 クニ「はじめまして!漫画家をしています。いろいろ描かせていただきます!」 出野くんと僕はビールを飲む。せこいさんは日本酒を飲んでいる。 居酒屋お刺身、煮魚、生ガキを人数分注文し、僕がせこいさんにインタビューをする形でいろいろ質問をさせてもらった。まずなぜ23歳の若者と69歳の男性が友達なのか。 出野「居酒屋で会ったんです。そこから仲良くなっていろいろ一緒に出掛けたり。」 クニ「え?ふたりで?」 出野「はい。こないだも二人でバスに乗って遠くまでおでかけに行きました。」 釈然としない。出野くんがせこいさんを慕う気持ちはわかる。しかし僕から見て、出野くんと仲良くする理由がせこいさんの側に見当たらないのだ。 漫画の主人公には読者から愛される「ふさわしさ」が必要で、主人公への共感や憧れが作品にとっての命だと僕は考えている。そしてそれは今回のように実話だとしても不可欠で、出野くんと出会ってからここまでの間、僕はまだ彼の魅力を感じ取ることができていなかった。 AさんやBさん、そしてせこいさんに見えている彼の魅力とはなんなのか。出野くんがトイレに立った際に直接尋ねてみることにした。 クニ「せこいさん」 せ「はい。」 クニ「出野くんの、どんなとこが、こう、好きなんですか?」 せ「……」 黙っちゃった。 質問として粗すぎたか。ことばの軽さを一瞬悔いたが、慎重に言葉を選ぶ彼を待った。 せ「チャラいんだよ。」 クニ「はい???」 せ「チャラいの。今の若い子はみんなおとなしいからさ。彼はさ、チャラい。」 クニ「チャラい。」 出野くんがトイレから戻ってきた。 出野「いやー、呑んじゃいましたねー。そろそろ行きましょうか!」 チャラい。確かにチャラい。自分の置かれている状況を把握していないんじゃないかと思う程に。 人から借りた金を仮想通貨につぎ込んで、それを失ったことを報告した相手と、こうして軽口を叩いている。そしてそれを、この親友さんは【チャラい】と言い切って楽しんでいる。自分の50万円を失ってなお、そんな気持ちでいられるのはなぜだろう。相変わらず、僕には答えが見いだせない。 出野「じゃ!クニさんまた!!!」 出野くんたちと別れ、電車に揺られながら「チャラい」について考えた。チャラいというのは魅力なのだろうか?真面目でいることや、努力を続けることよりも、意味のあることなのだろうか。 せこいさんが感じている彼のチャラさというのは、見方によっては無責任で利己的で、チームで何かをするときには致命的な素質のはずだ。実害がないのならそれでも構わないかもしれないが、まさに実害があった人物が楽しそうに評するその顔は、良い時間を味わうかのような満足感さえ見て取れた。 日本酒が足までまわり、自宅についた途端に泥のような眠りに落ちて、猛烈な吐き気で目が覚めた。生ガキか、あの部屋か、飲みすぎただけとは思えない。トイレに駆け込み、そのまま朝まで便座を抱え込み、朝方になってひとつの結論にたどり着いた。 「この漫画…大変なことになる…」 次号へつづく
―[「お金0.0」]―
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