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「脳に定年はない」若々しい脳でいる方法を茂木健一郎氏に聞く

 年金の支給開始年齢の引き上げをにらんで、サラリーマンの定年が60歳から65歳へと引き上げられる過渡期にある現在。しかし、ほんの30年ほど前までは「55歳定年」が主流だった。そんな「55歳」というボーダーラインは、今日では見えざる壁となって現役サラリーマンの前に立ちふさがっている。例えば、サラリーマンは55歳を超えると会社から“戦力外”扱いされるという話もあり、実際SPA!で55~60歳の男性にアンケートを行ったところ(回答者数3018人)、58.9%が「55歳を境に人生が“下り坂”になった」と回答していたのだ。

茂木健一郎

茂木健一郎氏

脳を活性化させれば壁は消えていく


 否応なしに襲ってくる55歳の壁を突破するには、思考そのものを変える必要があるのかもしれない。現在55歳の脳科学者、茂木健一郎氏に、“壁と脳”の関係を聞いた。

「男性の場合、テストステロンというホルモンが男としての覇気や色気を出してくれますが、役職定年などの環境の変化によって、55歳頃を境にそれらの勢いが失われてしまう人はたしかに多い。しかし、脳の働きが55歳から急に衰えるということはありません」

 というのも、そもそも脳に定年はない。55歳の壁は脳が見せる幻想であり、その人自身の思い込みにすぎないのだと茂木氏は言う。

「脳の働きを活性化しつづけることができれば、“55歳の壁”を感じること自体がなくなります。脳の元気の源となるドーパミンをバンバン出していくことが重要です」

 ドーパミンは、自分が予想していることと、実際に起こっていることの差異に反応して放出される。つまり、意識的に新しい環境に身を置いて新たなチャレンジをしていれば、脳の老化を遅らせることができるというわけだ。

「チャレンジには相応の不安が伴います。その不安こそが、脳全体を活性化させ、神経細胞を繋ぐシナプスを強化するのです。ひとつの対象に没頭する必要はなく、興味のある分野があれば、手当たり次第に始めればいい」

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教養を深めることも脳にストップをかけない秘訣

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