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妻が限界「私は家政婦?」…親の介護が引き起こす熟年離婚

 年金の支給開始年齢の引き上げをにらんで、サラリーマンの定年が60歳から65歳へと引き上げられる過渡期にある現在。しかし、ほんの30年ほど前までは「55歳定年」が主流だった。そんな「55歳」というボーダーラインは、今日では見えざる壁となって現役サラリーマンの前に立ちふさがっている。例えば、サラリーマンは55歳を超えると会社から“戦力外”扱いされるという話もあり、実際SPA!で55~60歳の男性にアンケートを行ったところ(回答者数3018人)、58.9%が「55歳を境に人生が“下り坂”になった」と回答していのだ。 55歳の壁

親の介護の“出口のなさ”が熟年離婚のトリガーに

 55歳の壁は、家庭の中にも容赦なく立ちふさがる。これまでの夫婦生活を振り返った妻が、突如「この夫と老後まで一緒にいたくない」と我に返りがちなのがこの時期だ。 「一般的な55歳世帯では、子供の進学が家計を圧迫したり、親の介護問題に直面したりします。こうしたストレスがトリガーになって、これまで見て見ぬふりをしてきた問題が表面化するのです」(夫婦カウンセラーの西澤寿樹氏)  とりわけ“火種”になりやすいのは親の介護問題だという。 「子供の進学にからんだストレスは『あと4年耐えればいい』などと期限が見えるだけ、まだ我慢しやすい。一方、親の介護は終わりが見えない問題なので、ストレスのかかり具合が違います。人の生死に関わることだけに『終わらせたい』と望むこと自体が罪悪感という新たなストレスを生む。奥さんが実家の親を介護するようなケースでは、半別居状態になることも多く、物理的な距離が夫婦の仲を悪化させることがあります」  ここで壊れる夫婦とは、そもそもどんな問題を抱えているのか? 「ひとつのポイントはセックスレスであること。といっても行為の有無が問題なのではなく、“セックスしたいというモチベーションの欠如”が問題です。多くの夫婦が、こうしたモチベーションを確認し合わないまま、気づけば気持ちが離れてしまっている。それを顕在化させるのが“55歳の壁”なのでしょう」
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熟年離婚待ったなしだが…
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