更新日:2023年03月12日 08:31
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「自分は発達障害」と言いたがる人が増えている。精神科医・香山リカさんの懸念

家での振る舞い一つで「発達障害認定」される

 また、「夫が発達障害なのでは?」と疑う既婚女性もいたという。その根拠は「夫がやたらと一人になりたがる」「記念日のプレゼントがない」「食事やテレビを見ているときに急にキレる」「ネットやゲームに没頭する」などなど。程度の差こそあれ、世の既婚男性なら誰もが「それで発達障害認定されるのか……」と絶句するのではないか。 「そうして発達障害の範囲が広がっていくと、それこそ3人に1人くらいが当てはまることになる気がします。精神疾患にはトレンドがあって、少し前はうつ病・新型うつブームでした。今は発達障害も一種のトレンド化している部分があるのではないでしょうか」  発達障害の範囲が広がれば、我々の個性や主張すら駆逐されてしまうムードが生まれるかもしれない。しかし、「無個性しか生きられない社会」など、味気ないものでしかないと思うのだが……。 《「発達障害」を誰かに相談しているか?》 恥ずかしいので誰にも話していない 148人 心療内科や精神科を受診している 69人 家族だけには話している(もとから知っている) 44人 親しい友人には話している 29人 会社内では隠している 20人 会社にも報告している 18人 会社には未報告だが同僚/上司にはそれとなく話している 8人 (複数回答可)
香山リカ氏

香山リカ氏

【香山リカ氏】 精神科医。豊富な臨床経験をベースに、現代人の抱える心の問題に鋭く切り込む。近著に『「発達障害」と言いたがる人たち』(SB新書)など ― 大人の発達障害 ―
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