雑学

「大人の発達障害者」のための職業訓練所。どんなことが行われている?

 かつては未成年の問題だと思われてきた発達障害が、「大人の問題」として急速に認知され始めている。メディアでの露出も増え、自分や周りの人間に対して「実はそうなのかも」と思った人もいるのではないか。果たして「大人の発達障害」を抱える社会人たちの現状とはどんなものなのか。大人の発達障害の「最前線」を探ってみた。

当事者が集う職業訓練所やコミュニティの姿を覗いた


訓練所

まるで本物のオフィスのような造りになっている訓練所

 職場を離れた発達障害の当事者を支援する施設もある。「さら就労塾@ぽれぽれ」は障害福祉サービスを利用できる「受給者証」を持つ人が対象の、就労移行支援事業所だ。横浜事業所では5年前の設立時からパソコン事務作業を中心にしたことで、個人作業を得意とする「大人の発達障害」を抱える利用者が多くなっている。

「障害で就職活動が行き詰まる大学生から、再就労を目指す中高年まで幅広い方が利用しています。登録時にヒアリングを行いますが、一番多い悩みはコミュニケーション。本人も揉める理由がわかっていないことが多いです」

 そう話すのは、同施設の就労支援リーダーの對馬(つしま)陽一郎氏だ。施設では障害者雇用率制度の法定雇用条件である週20時間以上働くことに近づくため、“仮想の会社”に見立て、朝9時半から午後4時まで業務訓練を行っている。

「ワード、エクセルを使ったパソコン作業と、ビジネス基礎研修も行います。発達障害の方は、健常者だと無意識にできる社会ルールを覚えられない傾向があるんです。例えば名刺交換時に目上を尊重するマナーが理解できないとか。また、メモを取る時も“どこが重要かわからない”ことが多い。対策として、ルールやマナーを細かく明文化して意識づけてあげることで、失敗を防げるようにしますね」

 同施設に通う木村準一さん(仮名・40歳)は社会生活でコミュニケーションに悩み、約5年前に発達障害の診断を受けたという。

「私の一番の特徴はマルチタスクができないことです。簡単に言えばウェブブラウザの窓が1つしか開けず、2つ以上開けばフリーズ……という感じです。学習障害(LD)も少しあり、例えば急に漢字が読めなくなったり、平仮名のなかにカタカナが交じると判別できなくなることもあるんです」

 同施設からの就職先は大手企業の障害者枠の事務職系が多いという。「定着率は毎年8~9割程度。企業側もハローワークに相談するなど積極的に受け入れる姿勢は整いつつある」と、對馬氏は話した。

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当事者同士なら気楽に話ができる

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