実家に眠る貯金、生命保険、投資信託etc. 親の資産を守るため子は何をすれば良いのかハウツーを紹介する。

事務手続きが苦手な老親ほどソンをする!
日本では、会社員をしている間は、税金の知識などなくても大きな問題なく生きていける。
「にもかかわらず、高齢になったとたん『自己責任』で税金や社会保障と向き合わなければなりません。うまく利用すれば、医療費や税金の負担が軽くなる制度は多数ありますが、
その多くは『自己申告』。自ら動かなくては、メリットを受けることはできないのです」(介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏)
年金生活に入った親は、もはや事務手続きなど煩わしいだけだと思っているかもしれない。しかし、届け出ひとつが大きな違いを生むことも。
「例えば、重要な届け出に『
扶養親族等申告書』があります。名前のイメージから『扶養家族がいない場合は出さなくてもいい』と考えがちなのですが、これは翌年の税額を決めるために必要な書類で、会社員にとっての年末調整のようなもの。届いたのに提出しないでいると各種の控除が受けられません」
年金は「雑所得」と呼ばれる収入なので、一定額以上には所得税と住民税がかかる。昨年、扶養親族等申告書の未提出や記入ミスによって税金が本来よりも高くなり、
年金が過少支給になってしまった人は約130万人にも上ったという。
「扶養親族等申告書で申請できる控除のひとつが『
寡婦控除』。夫と死別した妻が受けられる控除ですが、税金が安くなることもさることながら、その最大のメリットは、
税金がかからない収入の枠が大幅にアップするということです」
65歳以上の親が一人で暮らしている場合、年金収入のみで年収155万円以下なら非課税となる。つまり、住民税を払わなくて済むわけだ。
これが
「寡婦控除」の対象になれば、年収245万円まで非課税に。月20万円の年金をもらっている親でさえ「低所得」と見なされて、医療費や介護保険料が安くなるなど、さまざまな恩恵を受けることができる。