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貧困、メンタル、妊娠…悩める風俗嬢の駆け込み寺「風テラス」とは?

 日本の性風俗がこれまでにない危機的状況に直面している。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まで2年を切り、“都市浄化”という名目で風俗店の取締りが厳しくなっている。摘発で性風俗店が減少し、最も影響を受けているのは働く女性たち。店の摘発によって働く場を失えば、金銭問題だけではなく様々な問題を抱えてしまう。しかし、悩みを抱えながらも職種的に後ろめたかったり、そもそもどこに相談すればいいのかわからないというのが彼女たちの本音……。  そんな風俗嬢の駆け込み寺になっているのが『風テラス』だ。同組織は2015年10月から始まり、主に風俗店で働く女性の生活・法律相談を“完全無料”で行っている。代表は東京大学文学部卒で、重度身体障がい者に対する射精介助サービス業等に携わる坂爪真吾氏。一体、どういう経緯で風テラスをはじめたのか、そしてサポートする側から見た、風俗嬢が抱える悩みとは?

きっかけは障害者を働かせる地雷風俗店の批判から始まった

風テラス主催・坂爪氏。著書には性風俗の問題に切り込んだものが多い

「風テラスを一番最初にはじめた理由は、“地雷風俗“の批判からです。レベルの低さ日本一を謳う自称・地雷風俗店の『デットボール』のドキュメンタリーを観て、在籍している女性の中に障害者の方がいることを知りました。驚きとともに憤りを覚え、ツイッターで『障害がある女性を働かせてメディアに出すのはアウトだろ』と批判しました」  デットボールといえば、在籍女性の大半が“デブ・ブス・ババア”をウリにしたマニアックな女性が多く、身分証さえあれば採用することで有名だ。障害を持つ女性も受け入れている。そこに坂爪氏は引っかかった。 「僕の批判に対して、同店代表から、『一度店を見に来て欲しい』と直接返信がありました。まさかの展開になって驚きましたが、現場を見ないで批判するのも失礼なので、事務所に伺いました。実際に事務所を見学させて頂き、代表の方と話したところ、女性たちをとても大事にしていることがわかりました。『身分証があれば即採用』だから、生活に困っている女性も多い。障害者の方もいました。お店側も、家がない人には住居を探してあげたり、保証人にもなるなど、親身になってサポートしていた。でも、やっぱり指名がなければ稼げず、貧困から抜け出せない在籍女性は多い。同店代表と数度に渡り話し合って、『待機部屋で相談会をやってみませんか?』と持ちかけたのが、風テラスの始まりです」  デッドボールの待機部屋で相談会を実施したところ、かなりの人数が集まった。女性たちの悲痛な叫びを聞いた坂爪氏は、以降、各地で相談会を定期開催をし、数多の風俗嬢たちをサポートしている。相談は貧困だけではなく、多岐にわたると話す。 「メンタル系の相談や、ネットの誹謗中傷、離婚相談、金銭的な悩みも多いです。こうやって見ると一般の人と変わらないんですよ。ただ風俗で働いていることを言いづらかったり、どこに相談すればいいのかわからない。そういう方が『こんな窓口があるんだ!』と相談に来てくれる感じですね。相談を受けて問題が明らかになれば、あとは専門職や専門の窓口に繋いでいきます。税金関係なら風俗専門の税理士、借金問題なら弁護士が受任したり、妊娠に関する問題は専門のNPO、仕事関係なら就労支援の団体に繋いだりとかですね。『明日の食費もない』という人は、生活保護申請の同行支援を行うこともあります。このあたりも一般と同じですね」
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風俗業界はまだまだ世間に知られていない状態
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●一般社団法人ホワイトハンズ
http://www.whitehands.jp/menu.html

●風テラス ~風俗で働く女性が、安心して相談できる窓口を作りたい!~ - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/projects/view/95841
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