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豊洲市場より築地場外市場を散歩したほうが1億倍いいと感じた理由

記念撮影ポイントはゆるキャラと偽マグロとターレ

 仕方なく、PRコーナーでゆるキャラと偽マグロの前で記念写真を撮り、水産仲卸売場棟へ移動。ぐーっと戻らないといけないので、けっこう遠い。  さすがにこっちには、市場らしい賑わいがあるんじゃないか。ターレが走り回る姿なんかも、かいま見られるんじゃないか。そう思ったが甘かった。

イッチーノがいました

 こっちには、さっき同様、食堂が並んでる一角と、その奥の奥に店舗が並んでいる一角があったが、どっちも建物自体があまりにも無味乾燥で、まるでバーチャル店舗。午後2時前には大半の店舗がシャッターを閉め、文字通りのシャッター通りになっていた。午後に来た自分が悪いんですが、たとえお店が開いてても、これじゃ『シムシティ』じゃなかろうか。  食堂街と店舗街との間の通路(やっぱり空港の通路風)には、名物のターレが2台置いてあり、見学者が嬉々として記念写真を撮っていたが、市場の雰囲気がゼロなので、これまたバーチャル感がビンビンだ。  外国人観光客も多数いらっしゃいましたが、メチャメチャつまんなかっただろう。つまらんものを見せてしまってスミマセン。  結局、市場の賑わいなんぞカケラも感じられず、『週刊文春』の記事の真偽もカケラも体感できずに、ゆりかもめで帰りました。

マグロのオブジェもあります

豊洲市場に市場感がないと感じるのはなぜ?

 豊洲市場は本来、業者のための施設で、見学者のためのものではない。築地市場時代は、そもそも一日の見学者数が非常に制限されていて、ド早朝に行って順番を取らないと、一般人は内部に入れなかった。私は何度か取材で入ったが、ターレが神業的に暴走しまくるなど、慣れない一般人が大勢いたら明らかに危険だったので納得だ。  ただ築地は、屋根があるだけの開放施設だったので、外からもなんとなく市場っぽい雰囲気は感じられて、それが築地の街の空気感を作っていた。  一方、豊洲市場は密閉された施設。中でなにがどうなってるのか、外からはほぼうかがい知れない。ただ、人数制限のない見学コースがあり、早朝に来れば、ガラス越しにセリも見られる。その点は親切だが、私はもう二度と行かない。築地場外市場を散歩したほうが1億倍いい。
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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