カーライフ

カーマニアがクルマを買うのは「自分の割れた腹筋を鏡で見る」ようなもの

 今年登場したトヨタの新型クラウンのCMで、初めてニュルブルクリンクの名前を知り、世界一過酷なサーキットだと認識した人は多いでしょう。このニュルで一番速いクルマというのは一つの大きな勲章。まるでマンガの世界です。そんなニュルにおけるFF最速の称号をホンダから取り戻すべく、ルノーの伝説のクルマが新型になって登場しました! オートクラブMJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

世界の草野球の王者を目指す伝説のクルマ再び!

 乗り物と言えば満員電車専門で、それ以外はめったに乗らない読者のみなさま、こんにちは! 今回はまたしても、みなさまにはまったくどーでもいい話題を取り上げます。だからこれ以上読まないでください。時間のムダですから。  では、始めます。新型ルノー・メガーヌRSが発売になりました~! うおおおお~。コーフンするなあ。  なにしろ先代メガーヌRSは、ニュルブルクリンク(略してニュル)でFF最速を誇ったマシン。なんのことかわからないでしょうが、ドイツのニュルブルクリンクというとても過酷なサーキットで、前輪駆動のクルマの中では、世界一速かったということです。うーん、説明が長い。  ニュルブルクリンクは、1周3000円くらい払えば誰でも走れるサーキットで、私も激遅レンタカーで走ったことがあります。誰でも走れるだけに、市販車がタイムアタックをして、おのれのスゴさを見せつける“スッポンパワーな舞台”となっているのです。  このニュル市販車最速の座は、最近はランボルギーニとポルシェが争っているようですが、FF最速に関しては、メガーヌとシビック(ホンダ)が火花を散らして参りました。  ランボ対ポルシェなんて、ゴジラ対キングギドラみたいなもんだけど、FFというのはつまり基本的にフツーのクルマということで、わりと誰でも買える。そのなかで最速というのは草野球のチャンプみたいなもので、アツいカーマニア達は、「メガーヌRSに乗ればオレもチャンプになれる!」と、ライザップのCMのようにその気にさせられたものでした。  そんな伝説のクルマが新型になったので、カーマニア達は「いったいどんなマシンなんだ!?」と興味津々なのです。
オートクラブ

新型メガーヌRSは1.8リッター4気筒直噴ターボエンジンを搭載。最大出力279馬力。ミッションは6速デュアルクラッチ(本国ではMTもあり)。先代は3ドアでしたが新型は5ドアのみで価格は440万円。四輪操舵システム「4コントロール」がウリです

「メガーヌRSなんて見たことも聞いたこともねえけど?」  満員電車派の諸君はキョトンとするでしょうが、実は本邦はメガーヌRSにとって世界で5番目の大市場。先代の全生産台数3万3000台のうち、約7%が日本で売られたそうです。奇しくもこの比率は、フェラーリが日本で売られる数字に近い。実は日本は、ディープなカーマニアが多数生息する国なのです。
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メガーヌRSは日本市場向け!
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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