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サッカー日本代表・堂安律が名門クラブを惹きつける理由

現実味を帯びる名門クラブ移籍

 この日の堂安の活躍を的確に表現するなら「守備でやるべきことをやった上で全得点にも絡んだ」となるだろう。この「守備をした上で」という部分が非常に重要で、最も評価されるべきポイントだ。10数年前と比べ大きな進化を遂げた現代のフットボールにおいては、例え攻撃的なポジションの選手であっても強度の高い守備をすることがマストだ。守備が免除されるのは攻撃で超人的な才能を持った選手だけであり、現在トップレベルにおいてそれが許されるのはリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドら数人のみだ。豊富な運動量でしっかりと強度の高い守備をし続け、その上で攻撃でも得点に直結する仕事をする。トップレベルの選手が揃うウルグアイ相手にそれが完璧にできてしまったということはつまり、堂安がすでにワールドクラスに限りなく近いレベルにまで到達していることを意味するのだ。 「たかが親善試合で活躍したくらいで大袈裟な」と思われる方もいるだろう。日本のホームで行われた試合である上に、来年1月にアジアカップを控える日本と比べ、ウルグアイのモチベーションがそこまで高くなかったのではないかと推測する意見もある。だが、日本と対戦する4日前に韓国に1-2で敗れていたウルグアイとしては、「格下のアジアの国に連敗して帰るわけにはいかない」という危機感は間違いなくあったはずだし、立ち上がり5分間の激しいプレッシングを見れば、あの日のウルグアイが紛れもない本気モードだったことは明らかだ。親善試合とはいえある程度以上強度の高い試合だったことは明白であり、その中で攻守に渡りあれほどのプレーを見せてしまっては、強豪クラブが本気で獲得に乗り出しても何ら不思議なことではない。直後に移籍報道が過熱したのもある意味当然なのだ。  堂安はこの分で行けばこの冬か遅くとも来年の夏にはオランダを後にすることになるだろう。数年後、日本代表の中心選手となった堂安のキャリアを振り返る際に、「あのウルグアイ戦が名門移籍のきっかけとなった」と言われる可能性は、極めて高い。 取材・文/福田 悠 撮影/難波雄史(本誌)
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、今季は神奈川県フットサルリーグ1部HONU(ホヌ)でゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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